サウナの歴史と未来のサウナの形

はじめに
サウナは、人が汗をかいて健康的な体作りやリラックスをする、温められた部屋ですね。サウナの中では、ロウリュと呼ばれる、熱い石に水をかけて蒸気を発生させたりすることもあります。
ではこのサウナはいつどこで生まれ、どのように発展してきたのでしょうか。
世界にはたくさんの種類のサウナがあり、それぞれに異なる起源がありますが、ここでは世界的に主流な北欧のサウナ(フィンランド式サウナ)を中心に、その歴史や変遷について解説し、またサウナの未来について考察していきます。
サウナ:語源
もともとサウナの語源は北欧のフィンランド語に由来します。フィンランドではサウナ(発音はソーナ)は、「浴場」という意味を持ちます。感覚的には日本で「お風呂」という言葉に近いと思います。
しかし、現在の日本では浴場のことをサウナとはいいませんね。サウナは、多量の汗をかいてリラックスすることを目的とした施設・設備をさす事が多く、蒸気浴や熱気浴などと言い換えられる言葉です。
最初のサウナ:火を扱えることがサウナを生み出した
フィンランド式サウナとは少し外れますが、現在見つかっている最古のサウナの痕跡は、今から約50万年前、人間が自由に火を起こせるようになった頃に作られていたものがアフリカで見つかっています。
火は、食べ物を調理できるようにしただけでなく、体を温める手段にもなりました。このアフリカで最初につくられたサウナは、体をあたためて感染症などの病気を治療しようとする目的で作られたとされています。
このサウナではまず、地面を1mほど掘って、そこで石炭を使って火をおこし、中の空間を温めます。熱くなった石炭の約1mほど上にベッド(のようなもの)を置いて、そこに体を横たえて体を温めていたようです。
もちろん水をかけた痕跡もないため、蒸気などはなく、単に体に直接熱を加えて温めていたというわけですね。これをサウナと呼ぶかどうかは意見が分かれるところですが、「道具を使って人工的に体を温める熱気浴」という観点では、サウナとも呼べるのではないでしょうか。
また、これが病気の治療で使われていたということは、当時から体を温めることが病気の治療に効果があるという知識があったのかもしれませんね。
フィンランド式サウナ:多目的に使われた蒸気
ではフィンランド式サウナの起源はどうなっているでしょうか。
起源はもちろんフィンランドです。
現在見つかっている、今と同じような構造のフィンランド式サウナの痕跡は約2,000年前に作られたものです。そこでは石を火の中に入れて温度を上げ、熱した石に水をかけて熱い蒸気を浴びていたようです。これが外で行われたのか小屋の中だったのかは分かりません。
ただ、原理的には現在のフィンランド式サウナとほとんど同じものが2,000年前からあったというわけですね。日本では卑弥呼が登場するより遥かに前の時代なので驚きです。フィンランドは寒い地域のため、生き残るために体を温めることは、水や食料と同じくらい古代から重要視されていたのかもしれません。
またフィンランド式サウナが記録として文章にしっかり残っているのは今から約1,000年前です。
フィンランド式サウナは、比較的きれいな水で蒸気を発生させていたため、神聖な場として親しまれていました。そのため、出産や病気の治療の場にも使われていたようです。
また、サウナは体を温める以外にも、洗濯をしたり、肉を吊るしたり、農作物の加工に使ったりとかなり多機能な目的で使われいたようです。確かに熱い蒸気の部屋に長時間肉などを吊るせば中まで火が通って蒸すことができそうですね。
このフィンランド式サウナは、ストーブや小屋のかたちは変わったものの、原理的には今も昔もそのまま変わらずに広く親しまれています。
サウナの分岐点:遊牧民族が広めた土の中のサウナ
少し時代が飛びますが、13世紀頃から北欧の遊牧民族は国家を形成していきました。その時代でもサウナを利用していたようですが、ここで少しサウナの形が変化します。
彼らは地面をほった洞窟の中で火を焚き、火が燃え尽きた後で温まった空間に入って過ごしていたようです。
おそらく移動をしながら暮らす遊牧民であったため、小屋などを建てずに土の中をサウナの場所として選んだのでしょう。また、遊牧民族からすれば、水は貴重な資源であったため蒸気を使わなかったのかもしれません。
この遊牧民族のサウナの方式は、蒸気を浴びるわけではないため、今日のフィンランド式サウナから構造が変わりました。しかしこれが後の「スモークサウナ」と呼ばれるヨーロッパで伝統的なサウナ方式へと進化します。
最も伝統的:ヨーロッパで普及したスモークサウナ
クレーテスが1802年に世に出した著書「旅行記」では、スモークサウナについての記載がされており、17世紀から20世紀まではこの「スモークサウナ」が一般的なサウナとしてヨーロッパで広まっていたようです。
スモークサウナとは、小屋の中で薪ストーブを焚いて部屋を温めるサウナなのですが、現代のサウナとの違いはストーブの煙突がない点です。
煙突がないということは、薪を燃やされるときの煙が室内に充満しますよね。そのため、薪を燃やし尽くして煙が落ち着いた頃まではサウナに入れず、燃やし尽くした後で温まった部屋に入るという方式のサウナになります。
薪が燃え尽きるまでに時間がかかるため、スモークサウナではサウナに入るまでにかなり長い準備時間がかかるというデメリットがあります。しかし、このサウナは外との通気孔などがないため、一度温まった部屋がなかなか冷えない、長時間使えるというメリットがあります。
ちなみに、このスモークサウナはよく「サウナの王様」や「最も伝統的なサウナ」などの謳い文句で、現在でも時代を楽しむエンタメの1つとして少しだけ残っています。
効率を重視:煙突付きサウナ
19世紀ごろには産業革命がおきて、人々は効率をより重視するようになりました。
サウナでも効率を重視するようになったのか、1900年代の初頭に煙突がついたサウナが誕生しました。
煙突がついたことで煙を逃がすことができるようになったため、薪ストーブを焚いている途中でも小屋の中でサウナを楽しめるようになりました。また煙による汚れから解消され、メンテナンスに時間をかける心配もなくなったのです。ただ、薪が燃え尽きた後は部屋の中が急激に冷えるようになったので、長時間利用することはできなくなりました。
しかし、結果的にこの時代の忙しい人達でもサウナが楽しめるようになり、産業革命後の社会にサウナが浸透していくようになりました。
さらなる効率化:熱源の変化
20世紀後半に入ると、石油を使ったストーブが普及するようになったり、電気式のストーブが普及するようになったりして、サウナの構造よりも熱源部分が変化しました。
特に電気式のストーブは煙の発生が無いため、メンテナンスの工数が格段に減りました。また、途中で薪や石油を追加する必要がないためほったらかしでもサウナが楽しめるようになりました。つまり。かなり効率のいいサウナが出来上がったのです。
結果的にビジネスとしてのサウナが普及し、日本でも多くの浴場で電気式のストーブを使ったサウナが広く浸透していきました。
サウナの今後:さらなる進化と多様化
現代では、技術の進化とともに様々なサウナができるようになりました。
アメリカなどで普及している「遠赤外線サウナ」がその代表例です。このサウナでは直接熱い熱源を使うわけではないですが、効果的に体を温めることができます。
そしておそらく今後も新しい技術を使って全く新しいサウナの形は登場してくると思います。
例えばスマートなサウナです。
入る人の体の状態を判断しながら、温度や湿度、時間をコントロールしてくれる機能を備えたサウナが登場するかもしれません。
またフレキシブルな自宅サウナも考えられます。
普段は普通の部屋として使えるけど、簡単なセッティングで部屋の一部がサウナ室に変わり、すぐに普通の部屋に戻せるような自宅サウナが登場するかもしれません。
他にも古代のフィンランド式サウナのように体を温める以外の用途でも使えるサウナであったり、体の治療に特化したサウナが作られるかもしれません。このように次々に新しい形のサウナがこれまでより早いペースで開発され続けていくと思います。
ただ、最近では多様化の文化が浸透し、それぞれが好きなことを楽しみ、それぞれで小さなコミュニティを形成するようになりました。サウナも例外ではなく、様々な種類のサウナが街に誕生し、人それぞれ、好きな種類のサウナを選んでいます。
つまり今後新しいサウナが誕生しても、古いサウナが完全に淘汰されることがあまりないのかもしれません。
サウナが好きな人からすれば、次々に登場する新しいサウナにアンテナを張り巡らせたり、順応する努力をする必要はあまりないと考えています。自分が好きなサウナを見つけて、それを楽しみ続けることが人生を豊かにするために重要な要素ではないかと思います。
参考
・http://www.globalhistorylab.com/uncategorized/sauna-and-bathing-in-global-history/
・http://www.lymebook.com/history-of-sauna-therapy
・https://www.thermaltherapy.org/ebusSFTM/societyinfo/whatisthermalmedicine.aspx
・ https://www.parksandrecbusiness.com/articles/2008/03/04/the-evolution-of-the-sauna
・https://saunacloud.com/a-guide-to-the-history-of-infrared-saunas/
・https://www.parksandrecbusiness.com/articles/2008/03/04/the-evolution-of-the-sauna
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