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サウナは「ととのう」から「つながる」へ——北米発ソーシャルバスハウスの拡がり

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サウナは「ととのう」から「つながる」へ——北米発ソーシャルバスハウスの拡がり

はじめに

「サウナ」と聞いて思い浮かぶのは、静かに汗を流して「ととのう」時間ではないでしょうか。

ところが今、北米ではサウナがバーやクラブに代わる"夜遊びの場"として急速に広がっています。

2025年3月、CNNのWeb版で北米で急増する「ソーシャル バス ハウス」と呼ばれる新業態が大きく取り上げられました。DJイベントやコメディナイト、初デートの場——サウナの使い方がここまで変わるのかと感じる内容です。

この記事では、その報道を起点に北米サウナ文化の最新トレンドと、日本との違いから見えてくるものを考察してみます。

 

CNNが報じた北米サウナの新潮流

※画像はイメージです。

「バーの代わりにサウナへ行く」という選択肢

CNNが2025年3月に公開した記事のタイトルは、直訳すると「新しい夜の行き先はバーじゃない。もっと熱い場所だ」。サウナや入浴体験をベースに社交やエンタメを掛け合わせた、北米の新業態「ソーシャル バス ハウス」を取り上げた内容です。

サウナや入浴の儀式を、単なるウェルネス体験としてだけでなく、ナイトアウトや初デート、コミュニティ形成の場として再解釈する施設が、北米各地で次々とオープンしている(筆者要約)CNN "Social bathhouses bring new heat to North American cities"

記事で取り上げられた施設の一つが、モントリオールのRECESS Thermal Station。約50人が入れる巨大な円形サウナを中心に、DJイベントやブレスワーク(呼吸法)セッションが定期的に開催されています。

アメリカでは「居酒屋のようにコミュニケーション」や、「イベントを楽しむ」ことを主な目的にした常設のサウナ施設が続々と作られている、というわけです。

 

なぜ今、サウナが「社交の場」になるのか

ソーシャルバスハウスが急速に広がる背景には、北米社会の大きな2つの変化があると考えられています。

深刻化する「孤独のパンデミック」

2023年、アメリカの公衆衛生局長官は「孤独」を「公衆衛生上の危機」と公式に宣言しました。

新型コロナウイルスのパンデミック以前から成人の約半数が孤独を感じており、孤独による早死リスクの増加は「1日15本の喫煙」に匹敵するとされています。

スクリーンの前に縛り付けられた都市生活者たちが、リアルな人間関係を取り戻す場を求めている——その受け皿の1つがサウナとなった可能性があります。

 

「飲まない若者」の急増

もう一つの追い風が「ソバーキュリアス(あえて飲まない選択)」の潮流です。

NCSolutions社の2025年調査では、アメリカ人の49%が飲酒量を減らす予定と回答(2023年は34%)。Z世代では65%が「飲酒を減らす」と答えています。Gallupの2025年調査でも飲酒するアメリカ人の割合は54%と過去最低水準に達しました。

バーに行かない若者が増えている。しかし友人と会いたい、夜に出かけたいという欲求は消えていない。その「夜の行き先の空白」にソーシャルバスハウスがフィットしたのではないでしょうか。

POINT

CNNの記事でも、ソーシャルバスハウスの多くが「ノンアルコール」で運営されている点が注目されています。アイスバスによる天然のドーパミン放出が「お酒なしのハイ」を提供していると、Othershipの共同創業者は表現しています。

 

先駆者たちはその「空白」にどう飛び込んだのか

Othership(トロント発):裏庭から始めたコミュニティ・ファースト

このムーブメントの代名詞的存在の1つが、トロント発のOthership(アザーシップ)です。

始まりは2019年、創業者が自宅の裏庭に置いた1つのアイスバス。夜は焚き火と音楽を囲み、お酒なしで集まれる場にしたのが原点でした。これで店舗を持つ前に1,000人のコミュニティが自然に形成されていたといいます。

その後、自己資金約3億円で初の常設店舗を開くと、1ヶ月で3週間待ちとなり即黒字化。創業者自身がアルコール依存からの回復者で、同じ痛みを持つ都市部のプロフェッショナル層に刺さったのもあるようです。

注目すべきは、ただのサウナ施設ではなく「感情のフィットネスジム」として設計した点。ガイドが75分のセッションを主導し、呼吸法やメンタルヘルスプログラムを提供。会員制サブスクで高頻度の来店を促す仕組みが、コミュニティの密度をさらに高め、現在はトロント2店舗・NYC2店舗に拡大し、Series Bで約16億円を調達しています。

RECESS(モントリオール):デザインで「クラブの代替」を体現

モントリオールのRECESS Thermal Stationは、空間デザインで差別化するアプローチ。

建築事務所Future Simple Studioが設計し、スキンケアブランドAesopが提携。金曜夜にはDJがハウスミュージックを流し、ラウンジではハーブティーを片手にアイスブレイカーカードで初対面同士が会話する——完全に「夜遊び」のフォーマットをサウナに移植した形です。

急拡大する新規参入

こうした先駆者の成功を受け、北米全体で参入が加速しています。

NYCのBathhouseはフィラデルフィアへの出店を予定。2026年にはNYC5番街にThe Altarが「Health as a cultural gathering space」を掲げて開業予定。モントリオールでもJOY Wellness Clubが今春オープンします。「ソーシャルバスハウス」はもはやニッチではなく、都市型ウェルネスの新カテゴリとして確立しつつあります。

 

一方で伝統派からの批判も

しかし、こうした流れに対してNYタイムズは「ヨーロッパ人はアメリカのサウナ文化に物申したいことがある」と報じ、サウナ内でのヨガや水着着用、DJに合わせて踊る行為が欧州の伝統派から批判を受けているという事実も伝えています。

それでもなお人が集まり続けているのは、「たとえ形が違っても、リアルな場に身体を置いて汗をかく体験」がスクリーン越しの交流では得られない充足感を与えているからでしょう。

伝統を守るか、自由に再解釈するか——サウナの楽しみ方そのものが問い直されている時代ということですね。

 

実は日本にも芽生えている「サウナ×社交」

フェスで花開くサウナ×音楽×交流

「サウナで踊る」と聞くと海の向こうの話に思えるかもしれません。しかし日本でも、すでに近い体験は生まれ始めています。

たとえば瀬戸内国際サウナ祭(香川県・琴弾廻廊)。50人収容の超巨大テントサウナにDJブースが併設され、初回開催で1,000名以上を動員したと報じられています

2025年に川崎で開催のJAPAN SAUNA FESTIVALも、100人収容の特大テントサウナやDJ音楽ブース、フード&アルコールエリアを備えた大型フェス。idetoxのブログでも2025年のサウナイベントをまとめています。

「サウナ×エンタメ×交流」の融合は、日本でも現在進行形なのです。

北米との違い:常設か、フェスか

しかし日本と北米には構造的な違いがあります。

北米のOthershipやRECESSは社交を前提に設計された常設施設。対する日本は「フェス」や「期間限定イベント」といった限定施設や開催が中心で、普段は「サウナは一人で静かにととのう」のが主流です。

日本で「ソーシャルバスハウス」は定着するのか?

では日本で、北米のように常設施設のサウナが普及するのでしょうか。

私としては、北米と全く同じ形での普及は、少しハードルが高いように感じます。

「公衆浴場法」などの法規制により、水着着用でも男女混浴の年齢制限や営業時間が厳しく定められている自治体が多く、北米型の大型施設を都市部で作るにはクリアすべき課題が多いです。もちろん、「黙浴」や「ととのう」文化を愛するサウナファンからの反発も予想されます。

しかし一方で、日本の若者の間では「ノンアルコールのシーシャバー」が流行するなど、「ノンアルコールでもチルしながら語り合う夜遊び」の需要は確実に高まっています。また、数年前の「ナイトプール」ブームのように、"映え"や"出会い"を求めた若者の次の行き先が「ソーシャルサウナ」にマッチする可能性も考えられます。

日本では巨大なクラブ空間というよりも、「貸切できる大型プライベートサウナラウンジ」や「グランピング併設のBBQ&サウナ空間」といった、気心の知れた仲間とクローズドに楽しむ形が広がっていくのではないでしょうか。

 

「ととのう」と「つながる」を両立する自宅サウナ

本場フィンランドでは昔から、サウナが家族の社交の場であり、心身の浄化の場でもありました。「一人の静寂」と「誰かと過ごす時間」が同じサウナの中に共存していたのです。

自宅にサウナがあれば、まさにそれが可能になります。平日は一人で「ととのう」時間に、週末は友人を招いてロウリュを囲む「つながる」時間に。施設に通わなくても、自宅が"ソーシャルサウナ"にも"プライベートサウナ"にもなる——それが自宅サウナならではの醍醐味です。6人以上が入れる大型の屋内サウナなら、ゲストを招いたサウナパーティも無理なく楽しめるでしょう。

 

まとめ

北米ではサウナが「バーの代わり」の社交インフラへと変わりつつあります。

その背景には孤独の深刻化と飲まない若者の増加があり、先駆者たちは「設備」ではなく「孤独を解消するコミュニティ体験」を売ることで新市場を切り拓きました。

日本でもフェスを通じた融合が進んでいます。「ととのう」も「つながる」も、サウナが持つ可能性の一面。自宅にサウナがあれば、その日の気分でどちらにも切り替えられる——それこそが本当のサウナライフなのかもしれません。

 

よくある質問

Q. ソーシャルバスハウスとは?従来のサウナ施設と何が違う?

サウナの温熱体験をベースに、社交やエンタメを組み合わせた常設施設のこと。

DJイベントやブレスワーク、コメディナイトなどを定期開催しているのが特徴。代表格はOthershipRECESS Thermal Stationで、トロント・NYC・モントリオールを中心に拡大中です。

Q. 自宅サウナでも「社交の場」として使える?

6人以上が入れるサイズなら、家族やゲストと一緒にサウナ体験を楽しめます。

フィンランドでもサウナは家族や友人が語らう場として使われてきた歴史があります。idetoxの大型屋内サウナなら、ロウリュを囲みながらリラックスした時間を共有できるでしょう。

Q. 日本ではサウナ×社交のイベントはある?

フェス形式のイベントが全国各地で開催されており、年々規模が拡大中。

瀬戸内国際サウナ祭やJAPAN SAUNA FESTIVALのように、DJブースや大型テントサウナ、フードエリアを備えたサウナフェスが増加しています。北米のような常設型はまだ一般的ではありませんが、「サウナ×音楽×交流」体験は着実に広がっています。

Q. ソーシャルバスハウスが北米で急増している理由は?

「孤独の深刻化」と「飲まない若者の増加」が重なり、バーに代わる夜の居場所が求められているためです。

2023年にアメリカの公衆衛生局長官が孤独を公衆衛生上の危機と宣言。Z世代の65%が飲酒量を減らす意向を示す中、「お酒なしで人とつながれる場所」としてソーシャルバスハウスが受け皿になっています。

アンケート - idetoxアンケート

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サウナにハマり「サウナ・スパ 健康アドバイザー」や「サウナ・スパ プロフェッショナル」「サウナ・スパ 健康士」の資格を取得。 サウナの利用は週に1回程度のミドルユーザーです。主に記事の執筆を担当しています。

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