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サウナを施設・事業で置くときの許可と届出【2026年版】

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サウナ設置の許可と届出【2026年版】

はじめに

ホテルや旅館の大浴場・客室、民泊や一棟貸し、温浴施設やジム、庭に置く屋外のバレルサウナ。施設や事業でサウナを置くときは、消防・保健所・建築の3つの窓口の手続きが関わります。

2026年は、サウナの扱いが大きく動いた年でもあります。3月31日からは屋外のテント型・バレル型サウナ向けの新しい区分「簡易サウナ設備」が全国の火災予防条例のもとになる基準に加わり、2025年12月に東京都港区の個室サウナで利用者2人が亡くなった火災のあとは、国の通知や自治体の条例改正が続きました。

この記事では、法令・条例・国の通知の該当部分を原文のまま引用し、それが施設・事業用のサウナにとって何を意味するのかを順に解説します。

  • 消防…ストーブの届出と、2026年3月にできた「簡易サウナ設備」
  • 保健所…公衆浴場の許可が要るとき・要らないとき
  • 建築…屋外のサウナは建物になるか、内装の制限
  • 事故のあと…国の通知と、条例で義務にした自治体の例、施設の点検表

費用や電気工事もふくめた導入全体の進め方を先に知りたい方は、「業務用サウナの導入ガイド」をご覧ください。

この記事の情報について

調査日:2026年10月10日。引用した法令・条例・通知は、この日に各機関のサイトで確認した内容です。東京都と港区の条例の公布の状況は、2026年10月13日に確認し直しました。

法令・条例・通知は改正されることがあります。また、届出の期限や基準、許可が要るかどうかの判断は自治体ごとに違います。この記事は一般的な情報で、個別の施設について許可や届出の要否を判断するものではありません。設置の前に、必ず管轄の消防署・保健所・建築の窓口に確認してください。

まず結論:施設・事業用のサウナの窓口は「消防・保健所・建築」の3つ

許可や届出の書類に記入する手元

施設・事業用のサウナで確かめることは、大きく3つに分かれます。それぞれ担当する窓口と、もとになる法令が違います。

窓口 何を確かめるか もとになる法令
消防署 サウナのストーブ(放熱設備)を置く前の届出、置き方の基準 市町村の火災予防条例
保健所 公衆浴場の営業許可が要るか、設備の基準 公衆浴場法、都道府県・市区の条例
建築の窓口(市区町村・都道府県) 屋外のサウナが建物にあたるか、確認申請、内装の制限 建築基準法

置き方ごとの目安は次のとおりです。あくまで目安で、実際の扱いは施設の使い方と自治体の判断で変わります。

施設・事業での置き方 消防の届出 公衆浴場の許可
温浴施設・ジムなどで、利用者を入浴させる 要る 要ることが多い(保健所に確認)
旅館・ホテルの浴場(宿泊者だけが使う) 要る 公衆浴場法の対象外になるものがある(保健所に確認)
旅館・ホテルで、宿泊者以外にも使わせる(日帰り利用など) 要る 要る場合がある(保健所に確認)
客室の中にサウナを置く 要る 国の明文は見つからない(保健所に確認)
民泊・一棟貸し 要る場合がある(消防署に確認) 国の明文は見つからない(保健所に確認)
屋外のテント型・木製バレル型(ストーブ1台・定格出力6kW以下・薪か電気)を事業で置く 要る(簡易サウナ設備) 要る場合がある(京都市は「原則として」要ると案内)

屋外に置くサウナは、このほかに建築基準法の扱いも確かめます。

自分の施設がどの行にあたるか分からない段階でも大丈夫です。業務用サウナの導入相談では、窓口への相談に使う仕様書の準備からお手伝いしています。

ここからは、表の根拠を窓口ごとに見ていきます。

消防:施設・事業用のサウナはストーブの届出が要る

電気ストーブとベンチが並ぶバレルサウナの室内

消防の手続きは、市町村が定める「火災予防条例」で決まっています。各市町村の条例は、総務省消防庁が示す「火災予防条例(例)」をもとに作られています。まずは、その条例(例)がサウナの届出をどう定めているかを見てみましょう。

施設・事業用のサウナは、工事の前に消防署へ届け出る

(火を使用する設備等の設置の届出)
第四十四条 火を使用する設備又はその使用に際し、火災の発生のおそれのある設備のうち、次の各号に掲げるものを設置しようとする者は、あらかじめ、その旨を消防長(消防署長)に届け出なければならない。
(中略)
六の二 簡易サウナ設備(個人が設けるものを除く。)
七 一般サウナ設備(個人の住居に設けるものを除く。)

総務省消防庁 消防予第444号(令和7年11月12日)別紙 火災予防条例(例)新旧対照表

つまり、サウナのストーブは「火災の発生のおそれのある設備」として、置く前に消防署へ届け出るのが基本です。国の条例(例)で届出が要らないとされているのは、個人の住居に置くものや、個人が私生活で使うものに限られます(東京都の扱いは後述)。ホテル・旅館・温浴施設などの施設や事業で置くサウナは、届出の対象と考えてください(民泊は後述のとおり、管轄の消防署に確認を)。

届出の期限は市町村の条例で決まります。たとえば京都市は「工事の5日前まで」、東京都の現行の条例は「当該工事に着手する日の七日前まで」です。

簡易サウナ設備の設置に当たっては、事前(工事の5日前まで)に消防機関への届出が必要です。(個人が設けるものを除く。)

京都市消防局 ちらし(令和8年3月)

屋外のテント型・バレル型は「簡易サウナ設備」に(2026年3月31日施行)

2026年3月31日から、屋外に置く小さなサウナ向けの新しい区分ができました。条例(例)の定義は次のとおりです。

屋外に設置した煙突付きの木製バレルサウナ

第七条の二 簡易サウナ設備(屋外その他の直接外気に接する場所に設けるテント型サウナ室(サウナ室のうちテントを活用したものをいう。)又はバレル型サウナ室(サウナ室のうち円筒形であり、かつ、木製のものをいう。)に設ける放熱設備であって、定格出力六キロワット以下のものであり、かつ、薪又は電気を熱源とするものをいう。以下同じ。)(以下略)

総務省消防庁 消防予第444号(令和7年11月12日)別紙 火災予防条例(例)新旧対照表

言い換えると、次の4つをすべて満たすものが「簡易サウナ設備」です。それ以外のサウナは、これまでどおりの「一般サウナ設備」として扱われます。

  1. 屋外など、外気に直接ふれる場所に置く
  2. テント型か、木製で円筒形のバレル型のサウナ室
  3. ストーブの定格出力が6kW以下
  4. 熱源が薪か電気

同じ日に出た運用の通知では、ストーブが2台以上あるものは簡易サウナ設備にしないこと、定格出力はメーカーの仕様書で判断することが示されています。箱型の屋外キャビンや、屋内に置くボックスサウナは「一般サウナ設備」です。

バレル型サウナやテント型サウナに複数のサウナ設備を設置する場合は、定格出力等によらず簡易サウナ設備として扱わないこと。

定格出力については、販売・製造業者の仕様書等を確認し、判断すること。

総務省消防庁 消防予第496号(令和7年11月12日)

簡易サウナ設備には、温度が異常に上がったときに熱源を切る装置が要ります(薪の場合は、近くに消火器を置けば代えられます)。

簡易サウナ設備について、温度が異常に上昇した場合に直ちにその熱源を遮断することができる手動及び自動の装置を設けることとする。
ただし、薪を熱源とするものにあっては、その周囲において火災が発生した際に速やかに使用できる位置に消火器を設置することにより代えることができることとする。

総務省消防庁 消防予第444号(令和7年11月12日)

なお、消防の区分ができたことは、置くことが認められたという意味ではありません。宇都宮市も、消防機関が簡易サウナ室の設置を許可するものではなく、建築基準法や公衆浴場法などの手続きも必要だと案内しています。

「個人が設ける」とは、所有者本人が私生活で使うこと

簡易サウナ設備の届出が要らない「個人が設けるもの」について、国の通知は次のように説明しています。

簡易サウナ設備の設置の届出について「個人が設ける」とは「所有者本人が私生活の用に供するために設ける」ことを指すものであり、例えば個人事業主が事業のために設置するものは届出が必要であること。

総務省消防庁 消防予第496号(令和7年11月12日)

つまり、簡易サウナ設備では、個人名義でも、民泊や貸し出しなど事業で使うなら届出が要るということです。一方、屋内のボックスなど一般サウナ設備で届出が要らないのは「個人の住居に設けるもの」で、家主が住む形の民泊のように住まいの中に置く場合の扱いは、国の通知には書かれていません。民泊のサウナは、管轄の消防署に確認してください。なお、この通知は国から自治体への「助言」で、実際の運用は各消防本部が判断します。

東京都内は、改正条例の公布までは現行の条文で

東京都では、簡易サウナ設備を加える火災予防条例の改正案(第171号議案)が2026年10月8日に都議会で原案可決されました。サウナの部分は「公布の日から施行」とされていますが、10月13日時点では、東京都公報で公布を確認できていません。

公布されるまでは現行の条例のままで、現行の届出の規定には、個人の住居を除く文言がありません。

第五十七条 火を使用する設備又はその使用に際し、火災の発生のおそれのある設備(以下「火気使用設備等」という。)のうち次に掲げるものを設置しようとする者(内容を変更しようとする者を含む。)は、当該工事に着手する日の七日前までに、規則で定めるところによりその旨を消防署長に届け出なければならない。
(中略)
八 サウナ設備

東京都 火災予防条例(2026年10月10日時点の例規集)

都内で施設のサウナを置く・入れ替える場合は、工事の7日前までの届出を前提に、管轄の消防署に最新の扱いを確認してください。

保健所:施設・事業用のサウナで公衆浴場の許可が要るとき

宿泊施設の浴室に置かれたバレルサウナと浴槽

次は保健所の手続きです。施設・事業用のサウナを利用者に使わせる場合、まず確かめるのは「公衆浴場の営業許可が要るか」です。

この法律で「公衆浴場」とは、温湯、潮湯又は温泉その他を使用して、公衆を入浴させる施設をいう。

業として公衆浴場を経営しようとする者は、都道府県知事の許可を受けなければならない。

公衆浴場法 第1条第1項・第2条第1項(e-Gov法令検索)

許可を出すのは、都道府県知事(保健所を置く市や東京23区では、市長・区長)です。ポイントは「業として」の意味で、厚生労働省は解説ページ「公衆浴場法概要」の中で「反復継続の意思と社会性を持って行われること」と説明しています。以下では、法令の条文のほかに、厚生労働省や保健所の解説ページの文も引用します(法令そのものではなく、行政による説明です)。

料金を取らなくても、くり返し使わせるなら対象になりうる

東京都の保健所は、許可の対象を解説ページで次のように説明しています。

反復継続の意思を持ち、かつ、その行為が社会性を有している場合は、すべて対象となります。利用者が不特定多数であるか、対価(料金)を徴収するかは問いません。

東京都南多摩保健所「公衆浴場」

つまり、「無料のサービスだから許可は要らない」とは限りません。サウナは、公衆浴場のうち「その他の公衆浴場」に含まれます。

(2)その他の公衆浴場
保養・休養を目的としたヘルスセンター・健康ランド型のもの、ゴルフ場やアスレチックジム等スポーツ施設に併設されるもの、工場等に設けられた福利厚生のための浴場、サウナ、個室付き公衆浴場、移動入浴車、エステティックサロンの泥風呂等がある。

厚生労働省「公衆浴場法概要」

旅館・ホテルの浴場は、宿泊者だけなら公衆浴場法の対象外になるものがある

他法令に基づき設置され衛生措置の講じられているものは公衆浴場法の適用外とされており、労働安全衛生法による作業場に設けられた浴場や労働基準法による事業附属寄宿舎、旅館業法の適用を受ける宿泊施設の浴場が該当する。

厚生労働省「公衆浴場法概要」

厚生労働省の解説では、旅館業法の適用を受ける宿泊施設の浴場は、ほかの法令で衛生措置がとられているため公衆浴場法の適用外とされています。ただし東京都の保健所の案内は、旅館業許可施設でも宿泊者のみを入浴させる浴場などについて「公衆浴場法の対象外になるものがあります」という書き方で、すべてが対象外になるとは言っていません。

ただし注意したいのは次の2点です。

  • 宿泊者以外にも使わせる場合(日帰り利用や、サウナだけの時間貸しなど)は、公衆浴場の許可が要る場合があります。
  • 客室の中に置くサウナを「宿泊者だけの浴場」と同じに扱えるかについて、国の明文は見つかりませんでした。

どちらも、計画の段階で施設のある自治体の保健所に確認してください。

屋外のサウナや民泊でも、事業なら許可が必要になることがある

屋外のテント型・バレル型サウナについて、京都市は次のように案内しています。

業として簡易サウナ設備を設置する場合は、原則として、公衆浴場法の許可が必要です。
事前に保健福祉局医療衛生センターにてご確認ください。

京都市消防局 ちらし(令和8年3月)

民泊(住宅宿泊事業)のサウナについては、観光庁の民泊制度ポータルのよくある質問を確認した範囲では、サウナについての記載はありませんでした。屋外サウナの基準をどこまで緩めるかも自治体ごとに違うため、民泊・グランピング・一棟貸しのサウナは、保健所への事前の相談が欠かせません。

建築:施設・事業用の屋外サウナは建物になるか、内装の制限

コンクリートの基礎の上に据えた屋外のバレルサウナ

3つ目は建築の窓口です。屋外にバレルサウナや小屋型のサウナを置く場合、それが建築基準法の「建築物」にあたるかを確かめます。

屋外のバレルサウナも「建築物」にあたる場合がある

建築物 土地に定着する工作物のうち、屋根及び柱若しくは壁を有するもの(これに類する構造のものを含む。)(中略)をいい、建築設備を含むものとする。

建築基準法 第2条第1号(e-Gov法令検索)

「土地に定着する」かどうかは、基礎への固定のしかたや、置いておく期間などで判断されます。京都市も「テントやバレルは、建築基準法が適用される場合があります」と案内しています。建築物にあたるかを判断するのは自治体の建築の窓口なので、置く前に確認しましょう。

「10㎡以下なら確認申請は不要」は、増築・改築・移転の話

よく「10㎡以下なら建築確認は要らない」と言われますが、条文の書き方は次のとおりです。

前項の規定は、防火地域及び準防火地域外において建築物を増築し、改築し、又は移転しようとする場合で、その増築、改築又は移転に係る部分の床面積の合計が十平方メートル以内であるときについては、適用しない。

建築基準法 第6条第2項(e-Gov法令検索)

つまり、10㎡以内で確認申請が要らなくなるのは、防火地域・準防火地域の外で、増築・改築・移転をする場合です。防火地域・準防火地域の中では10㎡以内でもこの例外は使えず、新しく建てる場合の例外でもありません。確認申請が要るかどうかは、まず建物の用途・規模・場所(都市計画区域の中かなど)で決まります。サウナを置く計画が「新築」と「増築」のどちらにあたるかも含めて、建築の窓口か建築士に確認してください。

施設のサウナ室は内装の制限がかかる場合がある

別表第一(い)欄に掲げる用途に供する特殊建築物、(中略)又は建築物の調理室、浴室その他の室でかまど、こんろその他火を使用する設備若しくは器具を設けたものは、政令で定めるものを除き、政令で定める技術的基準に従つて、その壁及び天井(天井のない場合においては、屋根)の室内に面する部分の仕上げを防火上支障がないようにしなければならない。

建築基準法 第35条の2(e-Gov法令検索)

旅館や公衆浴場は、ここでいう「特殊建築物」にあたる用途です。また、火を使う設備のある部屋も内装の制限の対象になります。電気のサウナストーブがこの「火を使用する設備」にあたるかについて、国の見解は見つかりませんでした。施設のサウナ室の壁や天井の仕上げは、設計の段階で建築士や建築の窓口に確認しておくと安心です。内装材そのものの選び方は「サウナの内装材・壁材の選び方」で解説しています。

2025年12月の事故のあと、施設のサウナで何が変わったか

ガラス扉で外から中の様子が見えるサウナ室

2025年12月15日、東京都港区の個室サウナで火災があり、利用者2人が亡くなりました。港区によると、この施設は公衆浴場ではなく旅館業の許可を受けていた施設です。

区は、当該施設について、関係法令に適合していることを確認した上で令和4年7月に旅館業法に基づき許可をするなど、法令に基づき対応してまいりましたが、今回の事故を踏まえ、12月24日に、区内の旅館業と公衆浴場のうち、サウナを設置している143施設に対し、改めて利用者の安全対策を徹底するよう注意喚起を行う通知を発送しました。

港区「港区赤坂で発生したサウナ火災死亡事故について」(2025年12月26日更新)

国は、扉・緊急時の体制・非常用ブザーの指導を自治体に求めた

厚生労働省は全国のサウナ施設の状況を確認したうえで、2026年4月21日に自治体へ通知を出しました。

1 多くの営業者において、緊急時の従業員との連絡・駆けつけ体制の確保や、サウナ施設の扉が緊急時の開閉に支障を来さない構造となっているが、対応されていない一部の営業者に対し利用者の安全確保のために必要な指導を行うこと。
2 非常用ブザーについては「旅館業における衛生等管理要領」に明記されていないが、当該設備が緊急時の安全対策の一環として活用しうることを周知の上、必要に応じて指導すること。

厚生労働省 健生衛発0421第1号(令和8年4月21日)

これは国が自治体に指導を求めた通知で、法律や国の基準そのものを改正したものではありません。同じ通知に添えられた調査結果(2026年4月20日時点)では、サウナのある施設のうち次の割合が対応済みでした。

項目 旅館業(5,240施設) 公衆浴場業(7,812施設)
緊急時の従業員との連絡・駆けつけ体制がある 81.3% 93.0%
扉が内側から押すだけで開くなど、緊急時の開閉に支障がない 94.7% 95.9%
サウナ室内に非常用ブザーがある 63.5% 85.8%

とくに旅館業の施設では、非常用ブザーのある施設が6割台にとどまっています。公衆浴場の衛生管理の目安(衛生等管理要領)には、以前からサウナ室の窓と非常用ブザーが書かれています。

7) サウナ室の室内を容易に見通すことができる窓を適当な位置に設けること。
また、入浴者の安全のため、室内には、非常用ブザー等を入浴者の見やすい場所に設けること。

厚生労働省「公衆浴場における衛生等管理要領」(令和元年9月19日 改正通知 生食発0919第8号)

港区はサウナの扉・非常用ブザーなどを条例で義務に(2026年10月13日施行)

国の通知とは別に、条例で義務にする自治体も出てきました。港区は、旅館業と公衆浴場の条例を改正し、サウナ(条文では「熱気による入浴設備」)の設備の基準を加えました。旅館業の条例の改正部分を引用します。

⑴ 熱気による入浴設備の適当な位置に熱気の温度を明示するための温度計を設けること。
⑵ 熱気による入浴設備の内部の状況が容易に確認できる窓その他の装置を設けること。
⑶ 熱気による入浴設備の内部の入浴者が使用しやすい場所に非常用ブザーを設けること。
⑷ ⑶の規定により設ける非常用ブザーは、定期的に点検し、熱気による入浴設備を使用中に適正に作動することを確認すること。
⑸ 熱気による入浴設備に設ける扉は、当該入浴設備の内部の入浴者が容易に開放できる構造とし、ラッチその他の入浴者が内部に閉じ込められるおそれのある設備又は装置を設けないこと。

港区 議案第69号「港区旅館業法施行条例及び港区公衆浴場法施行条例の一部を改正する条例」

この条例は2026年10月9日に区議会で原案可決され、港区の案内によると10月13日に公布・施行されました。すでに許可を受けて営業している施設には経過措置があり、旅館業・公衆浴場のどちらも、非常用ブザー(設置と点検)は2027年(令和9年)9月30日まで、扉は同年3月31日まで適用されません。中が見える窓の基準は、すでに許可を受けている旅館業の施設には適用されません(公衆浴場にはこの除外がありません)。温度計と緊急時の体制には猶予がなく、施行の日から適用されます。また、サウナを新設・増設・変更する場合は、これらの猶予がありません。港区以外でも、静岡市のように以前から条例で非常用の設備を求めている自治体があります。

これから施設にサウナを置くときの点検表

上の通知と条例をもとに、これから施設・事業用のサウナを置くときに確かめたい設備をまとめました。義務かどうかは自治体によって違いますが、利用者の安全のために、計画の段階から入れておくことをおすすめします。

設備 確かめること
扉 中から簡単に開けられるか。ラッチなど、中に閉じ込められるおそれのある金具がないか
非常用ブザー 中の利用者が使いやすい場所にあるか。定期的に点検し、使っている間に作動するか確かめているか
窓 外からサウナ室の中の様子を確かめられるか
温度計 室内の温度が分かる位置にあるか
緊急時の体制 非常時に従業員へ連絡でき、すぐに駆けつけられるか

営業を始めてからの見回りや体調不良への備えは、「サウナ施設における安全対策とリスク管理のポイント」で解説しています。

施設・事業用のサウナストーブと電気工事(PSE・200V)

壁に取り付けたサウナストーブの操作パネル

最後に、ストーブそのものと電気工事です。電気のサウナストーブは、電気用品安全法で「特定電気用品」に指定されています。

六 電熱器具であつて、次に掲げるもの(定格電圧が一〇〇ボルト以上三〇〇ボルト以下及び定格消費電力が一〇キロワット以下のものであつて、交流の電路に使用するものに限る。)
(中略)
(七) 電気サウナバス及びサウナバス用電熱器

電気用品安全法施行令 別表第一(e-Gov法令検索)

つまり、交流100〜300V・10kW以下のサウナストーブは、ひし形のPSEマークが付いた製品であることが前提です。並行輸入品などを施設で使う場合は、マークの有無を必ず確かめてください。また、200Vの専用回路を引く工事は、電気工事士の資格を持つ人が行います。電圧・回路・配線・点検の注意点は「サウナ導入時の電気設備の注意と定期点検」で詳しく解説しています。

まとめ:施設・事業用のサウナは「相談の順番」で迷わない

海と富士山を望む宿泊施設の屋外サウナ

東京都の保健所も「公衆浴場は、新設・既設に関わらず、消防法、建築基準法といった公衆浴場法以外の法令にも関係している場合がほとんどです」と案内しています。施設・事業用のサウナは、次の順で確かめると手戻りが少なくなります。

  1. 使い方を決める…誰に(宿泊者だけか、外の人もか)、どこで(浴場・客室・屋外)、有料か無料か
  2. 保健所に相談…公衆浴場の許可が要るか、設備の基準(扉・ブザー・窓など)
  3. 建築の窓口に相談…屋外のサウナが建築物にあたるか、確認申請、内装の制限
  4. 消防署に届け出る…ストーブの種類と出力を伝え、工事の前に届出
  5. 電気工事…PSEマークのあるストーブと、電気工事士による200Vの工事

どの窓口でも、ストーブの定格出力やサウナ室の寸法が分かる仕様書が求められます。消防の通知でも「定格出力については、販売・製造業者の仕様書等を確認し、判断すること」とされています。

いちばん大事なのは、工事の前に3つの窓口に相談すること。法令や条例は変わることがあるので、この記事の内容も最新の扱いと照らし合わせてください。

idetoxでは、施設・事業用のサウナについて、機種の選定と、窓口への相談に使える仕様書(ストーブの定格出力・寸法など)の用意をお手伝いしています。許可や届出の可否の判断は各窓口が行いますが、資料をそろえるところからご相談ください。

導入全体の進め方は「業務用サウナの導入ガイド」にまとめています。

施設・事業用のサウナの許可と届出に関するよくある質問

民泊や一棟貸しで施設・事業用のサウナを置く場合も、消防の届出は要りますか?

要る場合があります。国の通知では、届出が要らない「個人が設ける」とは「所有者本人が私生活の用に供するために設ける」ことで、個人事業主が事業のために置くものは届出が必要とされています。民泊や一棟貸しは事業にあたるため、管轄の消防署に確認してください。なお東京都は、改正条例が公布されるまで、現行の条文に個人の住居を除く文言がありません。

施設・事業用のサウナを無料で使ってもらうなら、公衆浴場の許可は要りませんか?

料金の有無だけでは決まりません。東京都の保健所は、反復継続の意思と社会性があれば「利用者が不特定多数であるか、対価(料金)を徴収するかは問いません」と案内しています。施設・事業でサウナを使わせる場合は、保健所に相談してください。

6kW以下のバレルサウナを施設・事業で置くなら、手続きは要りませんか?

要ります。簡易サウナ設備にあたっても、個人が私生活で使うもの以外は消防への届出が必要です。また、施設・事業で利用者に使わせるなら公衆浴場の許可が要る場合があり、屋外に置くなら建築基準法の扱いも確かめます。どちらも、それぞれの窓口で確認してください。

施設・事業用の電気ストーブでも、消防の届出は要りますか?

要ります。火災予防条例(例)の「サウナ設備」は、熱源を問わずサウナ室に設ける放熱設備のことで、簡易サウナ設備も「薪又は電気を熱源とするもの」と定められています。電気ストーブだから届出が要らない、ということはありません。

サウナにハマり「サウナ・スパ 健康アドバイザー」や「サウナ・スパ プロフェッショナル」「サウナ・スパ 健康士」の資格を取得。 サウナの利用は週に1回程度のミドルユーザーです。主に記事の執筆を担当しています。

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