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サウナ電気代の差は2倍以上にも!屋内と屋外で維持費を比較計算

サウナ電気代の差は2倍以上にも!屋内と屋外で維持費を比較計算

はじめに

近年、自宅サウナの人気が高まっています。健康志向の高まりやリフレッシュ効果を求めて、マイサウナを検討される方が増えています。サウナを設置する際に気になるのが「電気代」ではないでしょうか。

実はランニングコストはサウナを屋内(室内)と屋外のどちらに設置するかによって、大きく変わります。特に地域によっては、その差がさらに大きくなることをご存知でしょうか?

今回は、idetoxのサウナ「J-WSD-1818」を使用して、東京と札幌の気象データを元に、屋内設置と屋外設置の電気代の差を計算して比較しました。サウナ設置を検討されている方の参考になれば幸いです。

 

この記事のポイント

自宅サウナの電気代は設置場所で大きく変わります。この記事では以下のことが分かります。

POINT

屋内設置は屋外より年間3〜4万円も電気代がお得な場合も(特に寒冷地)

② 屋外設置の場合、断熱性能が重要

③ バレルサウナは寒冷地での屋外利用に注意が必要

詳細な計算結果と根拠を解説します。

 

計算条件

今回の電気代試算では、以下の条件で計算しています。

※実際には屋外に設置するモデルには屋根材が付いているなど仕様が異なります。ただ、今回は単純な環境による電気代の差を分かりやすく計算するために、屋内型と同じモデルを屋外に設置すると仮定します。

項目 条件
サウナモデル J-WSD-1818(同一モデルを屋内・屋外に設置と仮定)
サウナサイズ 1500×1100×1900mm(容量約3.1㎥)
サウナ材質 レッドシダー(厚さ5cm)+ガラス面(8mm強化ガラス)
電気ストーブ 6kW
目標温度 90℃
使用頻度 週3回(月13回)
使用時間 90℃到達後に1時間(2~3セッション)使用
電気料金 31円/kWh
設置床面 屋内:フローリング床、屋外:土壌上
気象データ 気象庁2024年月別データ(東京・札幌)

POINT

気象庁が公開している2024年の月別データ(気象庁データベース)を元に、「気温」「湿度」「風速」などの要素を考慮して熱損失を計算しています。

 

サウナの設置環境による違い

サウナの設置環境を次の3つのパターンに分けて試算します。それぞれ、以下のような違いが発生します。(エアコンの有無は、サウナを設置している部屋のエアコンです。)

  • 屋内(エアコン有り):一定室温(25℃)で熱損失が少ない
  • 屋内(エアコン無し):外気温の影響あり、風の影響なし
  • 屋外:外気温・風・湿度の影響大、熱損失が大きい

特に「外気温との温度差」と「風による熱損失」が、電気代に大きく影響します。

注意!

今回の計算では雨や雪の影響は考慮していません。実際の使用では、降雨や積雪による断熱性能の低下で、屋外サウナはさらに電気代が高くなる可能性がある点を考慮しておきましょう。

 

サウナの準備時間を比較

まず、サウナを使用するためには、室温を目標の90℃まで上げる必要がありますね。そして、その準備時間が長ければ長いほど、電気代も高くなります。

そこで、それぞれの環境におけるサウナの『準備時間』を計算し、比較した表を下記に記載します。特に冬季と夏季の差に注目してください。

自宅サウナの設置場所別準備時間
地域 設置環境 夏季(8月) 冬季(1月)
東京 屋内(エアコン有り) 50分 50分
屋内(エアコン無し) 57分 63分
屋外 69分 77分
札幌 屋内(エアコン有り) 50分 50分
屋内(エアコン無し) 60分 63分
屋外 70分 90分*

注意!

*札幌の冬季(1〜3月、12月)は、気温が低く風が強い環境です。屋外サウナでは90分経過しても90℃に到達せず、約85℃が限界となります。これは低温環境下での熱損失が非常に大きいためです。

この表から明らかなように、屋外サウナは屋内設置よりも準備時間が大幅に長く、電気代が高くなります。特に札幌の冬季の屋外サウナでは、90分待っても設定温度に達しないという実用上の大きな問題があります。利便性を考えても、屋内設置の方が待ち時間が短く、すぐに使用できる利点があります。

 

季節別の月間電気代を比較

東京と札幌での夏と冬の月間電気代を比較すると、設置環境による差が顕著に表れます。特に寒冷地での屋外設置は、電気代が大幅に上昇します。

繰り返しになりますが、今回の電気代の計算では「週に3回」の頻度で自宅サウナを使うと仮定します。

夏季(8月)の設置環境による電気代比較

地域 設置環境 月間電気代 屋内(エアコン有り)との差 比率
東京 屋内(エアコン有り) 3,015円 - 1.0倍
屋内(エアコン無し) 3,400円 +385円 1.1倍
屋外 4,660円 +1,645円 1.5倍
札幌 屋内(エアコン有り) 3,015円 - 1.0倍
屋内(エアコン無し) 3,599円 +584円 1.2倍
屋外 4,932円 +1,917円 1.6倍

冬季(1月)の設置環境による電気代比較

地域 設置環境 月間電気代 屋内(エアコン有り)との差 比率
東京 屋内(エアコン有り) 3,015円 - 1.0倍
屋内(エアコン無し) 4,443円 +1,428円 1.5倍
屋外 6,117円 +3,102円 2.0倍
札幌 屋内(エアコン有り) 3,015円 - 1.0倍
屋内(エアコン無し) 4,436円 +1,421円 1.5倍
屋外 7,193円 +4,178円 2.4倍
自宅サウナの冬の月間電気代の内訳

季節変動の影響(夏と冬の電気代差)

地域 設置環境 夏季(8月) 冬季(1月) 夏と冬の差 季節変動率
東京 屋内(エアコン有り) 3,015円 3,015円 0円 1.0倍
屋内(エアコン無し) 3,400円 4,443円 1,043円 1.3倍
屋外 4,660円 6,117円 1,457円 1.3倍
札幌 屋内(エアコン有り) 3,015円 3,015円 0円 1.0倍
屋内(エアコン無し) 3,599円 4,436円 837円 1.2倍
屋外 4,932円 7,193円 2,261円 1.5倍

このように屋外サウナは、屋内と比べて電気代が大幅に高く、季節変動も大きいですね。

これらの表から、電気代に関する重要なポイントが明確になります:

  • 設置環境による差:屋外設置の電気代は屋内より大幅に高い
  • 地域差:寒冷地になるほど、屋内と屋外の電気代の差が顕著
  • 安定性:屋内(エアコン有り)りの環境が最も安定した電気代

特に札幌の屋外サウナでは、冬季の電気代が屋内(エアコン有り)りと比較して月に4,178円(2.4倍)も高くなります。屋内(エアコン無し)と比較しても月に1,421円(1.4倍)高く、風速による影響だけでも大きな差が生まれます。これは厳しい冬の気候による熱損失の増加が主な原因です。

 

年間電気代の比較

最後に、各月の平均気温や風速をもとにして、屋内と屋外の設置場所による電気代の年間合計を計算し、その差を見てみましょう。下記の表では、各設置環境の年間電気代と、屋内設置(AC有)との差額を表示しています。

年間電気代比較

東京
屋内(エアコン有り)
36,180円/年
基準値(1.0倍)
屋内(エアコン無し)
47,090円/年
1.3倍(+10,910円)
屋外
66,611円/年
1.84倍(+30,431円)
札幌
屋内(エアコン有り)
36,180円/年
基準値(1.0倍)
屋内(エアコン無し)
49,369円/年
1.36倍(+13,189円)
屋外
74,820円/年
2.07倍(+38,640円)
5年間使用した場合の電気代差額
東京(屋外vs屋内AC有)
約15.2万円
札幌(屋外vs屋内AC有)
約19.3万円

※週3回使用した場合の年間電気代(31円/kWh)

POINT

屋外設置は屋内設置(AC有)と比べて、同じ地域内でも電気代が大幅に増加します。東京で約1.84倍(年間+30,431円)、札幌で約2.07倍(年間+38,640円)にもなります。

この比較から明らかなように、設置場所による電気代の差は非常に大きいです。特に屋外設置の場合、屋内(エアコン有り)りと比較して東京でも約3万円、札幌では約4万円もの追加コストが発生します。これは5年間で15〜20万円もの差になる計算で、サウナ本体の価格差にも匹敵する金額です。

また、寒冷地になるほど屋内と屋外の差が大きくなる傾向がありますが、温暖な地域でも屋外サウナの電気代は屋内に比べて大幅に高くなることがわかります。電気代の観点からは、どの地域でも屋内設置が圧倒的に経済的と言えるでしょう。

 

寒冷地で屋外設置の注意点

以上のような計算結果から、特に札幌のような寒冷地では、サウナの屋外設置に関して以下の点に注意が必要なことが分かります。

  1. 温度到達の限界:冬季は90分経過しても90℃に到達しない場合も
  2. 電気代の大幅増加:屋内(エアコン有り)設置の約2倍以上にも
  3. ヒーターへの負担:長時間の稼働による機器寿命への影響も

注意!

最近人気のバレルサウナは、基本的に断熱材がありません。特に寒冷地で快適に使いたい場合には、設置場所に風よけフェンスを作ったり、断熱シートを巻いたり、出力の高いヒーターを選ぶなど、初期費用をさらに増やす必要があるため注意しておきましょう。

 

結論:自宅サウナの設置場所選びのポイント

今回の試算結果から、自宅サウナの設置を検討する際のポイントをまとめます。

  • 屋内設置が圧倒的に経済的(特に寒冷地)
  • 屋外設置なら高断熱・高出力ヒーターが必須
  • バレルサウナはそのままでは寒冷地の屋外設置に不向き

屋内設置は初期費用も安く抑えられることが多く(基礎工事や外装が不要)、電気配線工事も簡易なことが多いです。そのため、もし屋内と屋外の両方に自宅サウナの設置場所がある場合には、総合的に見ても屋内サウナの方がおすすめだと思います。

快適なサウナライフを送るためには、設置環境によるコストと使用感の違いをしっかり検討することが大切です。お住まいの地域の気候も含めて、最適なサウナ選びをしましょう。

 

計算方法の詳細

最後にこの記事で使用した電気代計算方法について、詳細な計算式と説明をご紹介します。熱工学の基本原理に基づいた計算モデルを使用しています。

基本的な計算式

熱損失計算

計算式

総熱損失 = (伝導熱損失 + 対流熱損失) × 湿度係数

伝導熱損失 = (木材部分のU値×木材面積 + ガラスのU値×ガラス面積 + 床のU値×床面積) × 温度差

対流熱損失 = 風による熱伝達係数 × 外部表面積 × 風影響係数 × 温度差

  • 木材のU値(熱貫流率): 1.4 W/(m²·K)
  • ガラスのU値: 5.8 W/(m²·K)
  • フローリング床のU値: 1.2 W/(m²·K)
  • 土壌上の床のU値: 0.8 W/(m²·K)
  • 風による熱伝達係数: 3.5 + 2.0 × 風速(m/s)
  • 湿度係数: 1.0 + ((湿度% - 50) / 10) × 0.03

加熱時間と加熱エネルギー計算

計算式

加熱時間(分) = 基準時間 + (温度差 / 65) × 係数

屋内(エアコン有り): 35分 + (温度差 / 65) × 15

屋内(エアコン無し): 40分 + (温度差 / 65) × 20

屋外: 45分 + (温度差 / 65) × 25 × 低温係数

 

加熱効率 = 基本効率 × 温度効率係数

温度効率係数 = max(0.85, min(1.0, (環境温度 + 5) / 30))

 

加熱エネルギー(kWh) = (ヒーター出力(kW) × 加熱時間(時間)) / 加熱効率

  • 屋内(エアコン有り)りの基本効率: 0.9
  • 屋内(エアコン無し)しの基本効率: 0.85
  • 屋外の基本効率: 0.8
  • 低温係数: max(1.0, 1.0 + (5 - 環境温度) / 10)

維持エネルギー計算

計算式

デューティサイクル = 総熱損失(W) / (ヒーター出力(W))

維持エネルギー(kWh) = ヒーター出力(kW) × デューティサイクル × 維持時間(時間)

総エネルギーと電気代計算

計算式

総エネルギー(kWh) = 加熱エネルギー + 維持エネルギー

月間エネルギー(kWh) = 総エネルギー × 月間使用回数

電気代(円) = 月間エネルギー × 電気料金単価(円/kWh)

計算における考慮事項

  1. 温度到達限界: 90分の加熱時間制限を設け、この時間内に目標温度に達しない場合は到達可能な最高温度(約85℃)で計算
  2. 季節変動の反映: 気象庁の月別平均気温、湿度、風速データを使用して各月の条件を反映
  3. 環境要因: 屋内設置の場合は風の影響をゼロとし、屋外設置では風速に応じた熱損失増加を計算
  4. 熱効率の変動: 外気温が低いほど加熱効率が下がる現象を計算に反映
  5. 湿度の影響: 湿度が高いほど熱損失が増加する効果を係数として組み込み

注意!

この計算モデルは物理的な熱移動の原理に基づいていますが、実際の使用環境や気象条件、サウナの使用パターンによって結果は変動する可能性があります。特に風向きや日射量、降雨・降雪・換気量などの影響は今回の計算には含まれていないため、実際の電気代はさらに変動する可能性があります。

サウナにハマり「サウナ・スパ 健康アドバイザー」や「サウナ・スパ プロフェッショナル」「サウナ・スパ 健康士」の資格を取得。 サウナの利用は週に1回程度のミドルユーザーです。主に記事の執筆を担当しています。

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