コンテンツに進む

コラム

自宅サウナの断熱材の有無で変わる電気代を試算してみた

自宅サウナの断熱材の有無で変わる電気代を試算してみた

はじめに

近年サウナブームもあり、自宅サウナの人気が急速に高まっています。しかし自宅サウナを導入しようにも、そのコストは大きな懸念点ではないでしょうか。そこでここでは、自宅サウナのランニングコスト、特に電気代について、大きな影響を与えるサウナの断熱性能について解説していきます。

POINT

自宅サウナで最も大きなランニングコストが電気代です。特に屋外サウナの場合は、断熱材の有無によって温まりやすさと電気代に大きな違いが生まれます。

 

【結論】断熱材の有無で年間3〜4万円の電気代差が

最初に結論から言うと、屋外に設置するサウナの場合、断熱材の有無によって計算上で年間3~4万円の電気代の違いが生まれます。

屋外サウナにおける断熱材の効果

東京

年間 約30,205円節約

断熱材なしの場合: 89,441円

断熱材ありの場合: 59,236円

札幌

年間 約39,525円節約

断熱材なしの場合: 102,743円

断熱材ありの場合: 63,218円

断熱材を入れると初期費用は増加しますが、電気代削減効果が大きく、5年間で15〜20万円もの差になります。特に札幌などの寒冷地では効果が顕著です。

初期施工でスマートに!

idetoxでは、初期施工時に高性能断熱材を組み込む施工事例があります。サウナ導入時に断熱材を追加することで、追加の工事費用や将来的なメンテナンス費用の削減を実現できます。 経済的で快適なサウナライフをお求めの方は、無料のサウナ選びサポートから詳細な条件をご記入の上、ご相談ください。。

それでは、この計算結果の詳細と断熱材の有効性について詳しく見ていきましょう。

 

断熱材のメリットとデメリット

サウナに断熱材を使うメリットとデメリットを簡単にまとめます。断熱材は初期費用や施工の専門性が必要な一方、ランニングコストを下げたり、サウナの耐久性を上げるなど、確かなメリットがあります。

メリット

電気代削減:外気温の影響が小さくなる

結露防止:木材の腐食や劣化を防止

快適性向上:温度ムラが少なく安定した環境

デメリット

初期コスト増加:20~50万円程度(サウナの規格や断熱材の種類による)

施工の専門性:DIY施工は推奨されない

素材選択の重要性:高温環境に適した断熱材の種類が必要

ではこの断熱材を使って、屋外サウナを使用すると、電気代はどのくらい削減できるのか計算してみましょう。

 

計算の前提条件

使用したサウナモデルの仕様

今回は、idetoxのサウナJ-WSD-1818を使用して、東京と札幌の気象データを元に、屋内設置と屋外設置の電気代の差を計算して比較しました。実際には屋外に設置するモデルには屋根材がありますが、今回は計算しやすくするために、屋根材がないこちらのモデルを屋外に設置したと仮定します。

サウナサイズ: 1500×1100×1900mm(容積約3.1㎥)

壁材: レッドシダー(厚さ5cm)+ 8mm強化ガラス

ヒーター: 6kW電気ストーブ

目標温度: 90℃

計算に使用した断熱材の詳細

項目 仕様
使用断熱材 グラスウール高密度品(熱伝導率 0.038 W/m・K)
断熱材厚さ 壁・天井: 50mm、床: 30mm
壁の構造 内側壁(50mm) + 空気層(25mm) + 断熱材(50mm) + 外側壁(50mm)

この計算では、壁が二重になることによる空気層の効果も考慮しています。

計算に使用した環境設定

  • 使用頻度: 週3回(月に約13回)
  • 使用時間: 90℃到達後に1時間使用
  • 電気料金: 31円/kWh
  • 気象データ: 気象庁2024年月別データ(東京・札幌)

注意!

これから示す数値はあくまで計算値です。実際の使用状況では、日照量、風向き、降雨・降雪の状況などによって数値が変動します。

 

断熱材の有無による電気代の比較

ここからは実際に計算した結果と考察を掲載していきます。

月別の電気代比較

まず、断熱材がある場合とない場合の月別電気代を計算し、代表的な月を以下の表にまとめます。

東京の月別電気代比較
断熱材あり 断熱材なし 差額 比率
1月 5,321円 8,192円 2,871円 1.54倍
4月 5,020円 7,704円 2,684円 1.53倍
8月 4,466円 6,350円 1,884円 1.42倍
12月 5,271円 8,099円 2,828円 1.54倍
札幌の月別電気代比較
断熱材あり 断熱材なし 差額 比率
1月 5,903円 10,556円 4,653円 1.79倍
4月 5,302円 8,227円 2,925円 1.55倍
8月 4,389円 6,717円 2,328円 1.53倍
12月 5,836円 10,468円 4,632円 1.79倍

POINT

どの季節でも断熱材ありの方が電気代は安くなりますが、特に冬季の寒冷地では差が大きくなります。札幌の1月では断熱材なしの場合、断熱材ありと比べて約1.8倍もの電気代がかかるのです。

年間の電気代比較

東京での年間電気代

断熱材あり:59,236円

断熱材なし:89,441円

年間差額:30,205円

5年間の差額:約151,000円

札幌での年間電気代

断熱材あり:63,218円

断熱材なし:102,743円

年間差額:39,525円

5年間の差額:約197,600円

POINT

断熱材の初期投資は(サウナの規格や断熱材の種類によりますが)安くて20万円程度でしょう。しかし電気代の削減効果は大きく、特に寒冷地では5年程度で元が取れる計算になります。さらに、断熱材は木材の保護にも貢献するため、サウナ本体の寿命を延ばす効果もあります。

季節別に見る断熱効果の違い

夏場の断熱材効果と電気代

夏季の昼間は断熱材がない方が安くなることも!

基本的に断熱材があったほうが電気代は安くなります。しかし、夏の太陽の光がよく当たる場所であれば、反対に断熱材を使わないほうが電気代がやすくなる場合もあります。

断熱材がないとサウナ内がとても灼熱になり、サウナを利用する時の準備時間が短くなるからです。

今回の計算上では、夏場でも断熱材を使ったほうが電気代が安かったのですが、設置する場所や気候によっては、一概に断熱材を使ったほうが電気代が安くなるわけではない点は注意しておきましょう。

東京8月の1回あたり電気代

断熱材あり:343円

断熱材なし:488円

差額:145円/回

高温の外気からの熱を効果的に遮断し、室内温度を安定させる効果があります。そのため、夏場の太陽の光がよく当たる場所でも、長時間使うのであれば断熱材による電気代削減効果は大きくなることでしょう。

冬場のサウナ小屋における断熱の重要性

冬季、特に寒冷地では断熱材の役割が一層重要になります。断熱材がないサウナは、ストーブの出力を上げても室内がなかなか温まらず、札幌などの寒冷地では90分経過しても目標温度に到達しないケースもあるのです。

札幌1月の1回あたり電気代

断熱材あり:454円

断熱材なし:812円

差額:358円/回

POINT

札幌の冬季では、断熱材がないと電気代が約1.8倍にもなります。これは、外気温が低いほど断熱材の効果が顕著になることを示しています。

梅雨時期の湿度対策と断熱材の関係

断熱材の効果は単に電気代を減らすだけでは有りません。特に梅雨の時期に、断熱材のもう1つの効果が発揮します。

湿度とカビのリスク

  • 湿度70%超:カビリスクが大幅に増大
  • 断熱材なし:結露が発生し木材が腐食するリスクが増大
  • 断熱材あり:結露を防ぎ木材の耐久性向上が期待できる

断熱材は湿気のある暖かい空気が冷たい場所に逃げ込むのを防ぎ、結露の発生を抑制します。透湿性のある断熱材を使用することで、湿気を適切に排出しながら断熱効果を得られるため、梅雨時期でも快適なサウナ環境を維持できたり、サウナの寿命を伸ばす効果に期待できます。

注意!

今回の電気代の計算では雨の影響は考慮していませんが、実際には雨によってサウナ外壁が冷やされるため、雨のときには電気代削減効果もより高くなるでしょう。

 

断熱材でサウナ準備が44分短縮!札幌・冬

冬場のサウナ準備時間(90℃到達)

別記事(「屋内と屋外で維持費を比較計算」)の計算式を使い、札幌の1月の気象データ(平均気温-3.8℃)を用いて、90℃までの準備時間を計算・比較しました。

断熱材なし

約 113 分

(約1時間53分)

断熱材あり (推定値)

約 69 分

(約1時間9分)

この計算モデルでは、断熱材を入れることで冬場の準備時間が 約44分短縮 される結果となりました。

計算モデルによって具体的な時間は異なりますが、いずれにしても断熱材が冬場の準備時間短縮と省エネに大きく貢献することは明らかです。このように断熱材を使うことは、ただ単に電気代が安くなるだけでなく、時間の節約にもつながる可能性が高いのです。

 

断熱材の科学:体感温度を左右するメカニズム

断熱材の性能を評価する最も重要な指標が熱伝導率です。値が小さいほど断熱性能が高くなります。

断熱材がなぜ効果的なのか?

繊維系断熱材

細かな繊維のすき間に空気を保持して断熱。高密度品の方が効果的。

プラスチック系断熱材

細かな気泡で構成。気泡が小さいほど断熱性能が高い。

サウナ内の温度分布は均一ではなく、高い位置ほど温度が高くなります。これは温かい空気が上昇するためです。断熱材はこの熱分布を安定させる効果もあります。

断熱材の厚さと断熱効果は基本的に比例関係にあります。しかし、空気層は20〜30mmが最適で、それ以上厚くなると対流が起きて効果が低下します。

小さなサウナ小屋では、最低限「壁」と「天井」に断熱材を使用すれば十分な効果が得られます。

 

自宅サウナの断熱対策:おすすめの断熱材

グラスウール

特徴: コストパフォーマンスに優れた一般的な断熱材

熱伝導率: 約0.038〜0.050W/(m・K)

価格目安: 比較的安価

注意点: 湿気に弱いため防湿層が必要

ロックウール

特徴: 耐火性に優れ、サウナの高温環境に適した断熱材

熱伝導率: 約0.033〜0.040W/(m・K)

価格目安: グラスウールより若干高価

メリット: 防音効果も高く、湿気に比較的強い

断熱材施工はプロに依頼することを推奨

サウナの断熱施工はDIYではなく、専門知識を持ったプロに依頼することを強くお勧めします。

DIY施工のリスク

  • 高温環境(100℃近く)による建材や接着剤の劣化
  • 防湿層の施工不良による湿気侵入
  • 断熱性能の低下や構造材の腐食
  • 火災リスクの増加

プロに依頼する際のポイント

サウナ専門の業者を選ぶ

一般建築業者ではなく、サウナに精通した専門業者を選びましょう。

断熱材だけでなく換気も

断熱と換気のバランスが取れた総合的な設計を依頼しましょう。

 

【参考】設置環境別:屋内サウナと屋外サウナの比較

そもそも、自宅サウナを屋内に設置するか、屋外に設置するかについて、電気代を過去に検証しています。

屋内設置

  • 外気温や風の影響を受けにくい
  • 年間を通じて電気代が安定
  • 東京・札幌ともに経済的

屋外設置

  • 季節による温度変動が大きい
  • 屋内設置比で東京約1.5倍、札幌約1.6倍の電気代
  • 開放感や自然との一体感を味わえる

屋内サウナと屋外サウナの詳細な比較、特に電気代の違いについては、以下の記事で詳しく解説しています。

 

まとめ:快適で経済的なサウナライフのために

断熱材の効果まとめ

電気代削減:年間約3〜4万円、5年で15〜20万円の節約

寿命を伸ばす:結露防止で木材も長持ち

サウナを設置する際には、断熱材の種類や厚さ、施工方法などを慎重に検討し、あなたの地域の気候や使用頻度に適した断熱設計を行うことをおすすめします。初期投資は増えますが、長期的に見れば大幅なコスト削減と快適性の向上につながります。

初期施工でスマートに!

idetoxでは、初期施工時に高性能断熱材を組み込む施工事例があります。サウナ導入時に断熱材を追加することで、追加の工事費用や将来的なメンテナンス費用の削減を実現できます。 経済的で快適なサウナライフをお求めの方は、無料のサウナ選びサポートから詳細な条件をご記入の上、ご相談ください。。

 

電気代計算に使用した熱力学の計算方法

電気代計算には、時間経過による外気温変化や風速による熱損失も考慮した熱力学的計算式を使用しています。

主な計算パラメータ:

  • 木材のみの熱抵抗値: 0.417 m²·K/W
  • 断熱材ありの壁の総合熱抵抗値: 3.191 m²·K/W
  • 断熱材なしの壁のU値: 2.400 W/(m²·K)
  • 断熱材ありの壁のU値: 0.313 W/(m²·K)
  • 総エネルギー消費量に31円/kWhを乗じて電気代を算出

POINT

これらの計算式を用いて、各時間帯の外気温、湿度、風速データを入力し、断熱材ありとなしの両方のケースで電気代を算出しています。また、季節による外気温の変動も考慮しているため、月ごとの電気代の違いも正確に反映されています。

サウナにハマり「サウナ・スパ 健康アドバイザー」や「サウナ・スパ プロフェッショナル」「サウナ・スパ 健康士」の資格を取得。 サウナの利用は週に1回程度のミドルユーザーです。主に記事の執筆を担当しています。

SNSをフォローしていただくと、サウナに関する情報を随時お届けいたします。

こちらもおすすめの記事

RECOMMEND BOX SAUNA