サウナ導入時の電気設備の注意と定期点検
はじめに
事業用サウナを運営する場合、浴槽のポンプやチラー類、空調はもちろん、サウナストーブでも多くの電力が必要になります。
サウナストーブをガスや油、また薪を利用して代替する方法もありますが、エネルギー価格が上昇するリスクや、施工コストが上がってしまうリスクもありますね。
そこで今回は電気ストーブを用いた事業用サウナを導入するにあたって、電気設備で注意しておくことをいくつかご紹介していきます。設計段階で決めておく要件だけでなく、引き渡し時に発注者側で確認しておきたい項目と、開業後の点検まで含めて整理しました。
※idetoxでは屋内・屋外問わず、豊富なカスタマイズができるサウナを多数販売しています。建築条件やご要望に合わせた最適なサウナをご提案し、設置までをサポートいたします。お気軽にお問い合わせください。

サウナ導入時に電気設備で注意する4つの事項

大きく電気設備関係で注意する点は以下の4つです。
- 電源容量(電圧)
- 電気回路
- 配線
- その他
一般的に求められる条件をそれぞれ解説していきます。
※具体的な内容は管轄する市町村などで異なりますのでご注意ください。
電圧
サウナでは大量の熱が必要になるため、電気ストーブを使う場合には基本的に200V以上の電圧が必要です。
100V電圧ではかなりストーブの種類が限られる上、よほど狭いサウナ室でなければ高温環境を作りにくくなってしまいます。出力の足りないストーブを選ぶと、あとから取り返しがつきません。
また導入予定のストーブを含め、全体の電力を見ながら電気契約を選んでいきましょう。
電気回路
サウナストーブの電源はコンセントを使用するのではなく、単独のブレーカーを分電盤内に増設し、そこから直接つなげる場合が一般的です。
またこの場合、漏電対策として、漏電電流を検知する装置を設ける必要があります。
ブレーカーの位置やそこからサウナまでの距離、またこれらの工事が発生する点には注意しておきましょう。分電盤からの距離は工事費に直結する項目です。
配線
サウナ内部を通る配線は高温下での動作に耐えうるものを使用する必要があります。
例えば、一般的に耐熱温度が150℃前後しかない「ケイ素ゴム絶縁の編組電線」。サウナストーブ付近ではリスクが高いため、コンクリートやモルタルなどで1cm以上埋設するか、金属管工事を行うことが求められます。耐熱性の見積もりを誤れば、配線そのものが発火の起点に。
一方で耐熱温度が1,200℃を超える「MIケーブル(無機絶縁ケーブル)」は埋設などの工事等は必要なくそのまま利用が可能です。ただし、価格が高いというデメリットもあります。
既製品のサウナの場合には、ここまで考慮した配線を提供されることもありますが、オリジナルのサウナを作ったりする場合には気をつけておきましょう。
その他
他にも細かい注意点がいくつか。
まず、電気ストーブにファンがついているものを使用する場合には、ファン停止の際に熱源の電源を遮断することができる装置が必要になります。
また、照明やストーブの導入時には法規に基づいて施工されるため問題になることは少ないですが、あとから様々な機器を導入する場合がありますね。
このときアース線をしっかり施し、漏電・感電対策をしたり、水場や温度が高い位置に機器を持ち込まないよう注意が必要です。
最後に停電時に事故や機器の破損が起きることを防ぐために、無停電電源装置を備えたり、非常灯を設置する等の事項を忘れないようにしておきましょう。
ストーブが電気用品安全法(PSE)に適合しているか
電圧や配線の要件を満たしていても、機器そのものが国内の基準に適合していなければ意味がありません。サウナ用の電気ストーブは電気用品安全法の対象になり得る製品で、対象となる電気用品には、国内で販売する際に適合を示すPSEマークの表示が求められます。自社で導入する機種がどう扱われるのかは、仕入先に確認しておきたいところ。
事業用サウナでは、この確認が家庭用以上に効いてくる。使うのは不特定多数のお客様であり、万一の事故では施設側が責任を問われる立場。機器の適法性を「施工会社が見ているはず」で済ませない——ここは発注者が仕様書レベルで確認しておきたい項目です。
海外製ストーブを個別に手配するときの落とし穴
サウナストーブは欧州メーカーの製品が多く、海外通販や並行輸入で安く入手できるように見える場面があります。ところが同じ型番に見えても、国内向けの適合を取っていない個体や、そもそも模倣品というケースが存在する。安く仕入れたつもりが、開業前の検査で使えないと判明する——最も避けたい展開です。
idetoxが採用しているHarvia製品はPSEを取得済みですが、どのルートで入手した機器でも同じとは限らない点に注意してください。見積書や納品書の段階で、型番とあわせて適合状況を書面に残しておくと後々の確認が楽になります。
注意!
施主支給・オーナー支給でストーブを持ち込む形にすると、機器の適法性と施工の責任範囲が分かれてしまい、トラブル時に所在が曖昧になりがちです。誰が何に責任を持つのかを、契約書の段階で明確にしておきましょう。
あわせて確認しておく法規類
電気用品安全法のほかにも、事業用サウナには公衆浴場法・消防法・建築基準法が関わってきます。どの法規がどこまでかかるかは施設の形態と自治体によって変わるため、早い段階で所管窓口に当たっておくのが確実。
関連法規の全体像と申請の流れはサウナ事業を始める前に確認する法律類と簡易チェックリストにまとめています。既存施設への後付けを検討している場合は業務用サウナを後付けで設置するメリットと注意点もあわせてどうぞ。
屋外に設置するなら、制御ユニットの収まりを図面段階で決める
屋外サウナやバレルサウナを導入する場合、屋内には存在しない論点がひとつ増えます。コントローラーの制御ユニット(パワーユニット)をどこに、どう収めるかです。
防水・耐候性のある盤に収めないまま外壁へ直接取り付けてしまうと、内部に湿気が回り、端子が錆びていきます。錆びた端子は接触抵抗が増え、通電のたびに熱を持つ。そこへ雨の季節が巡ってくれば、劣化はさらに速まる——という循環。
屋外の制御ユニットは、防水・耐候盤に収めることを前提に設計する。
なぜ「後から直す」が効きにくいのか
制御ユニットの位置は、配線ルートと分電盤からの距離に縛られます。開業後に「やはり盤に入れたい」となっても、電線の引き直しが伴えば費用も休業日数も跳ね上がる。設計段階なら盤ひとつの話で済んだものが、営業を止める工事に化けるわけです。
屋外機の設置に慣れた電気工事会社であれば標準的な配慮ですが、サウナは施工実績が分かれる設備。図面レビューの時点で、制御ユニットの収まりを明示的に確認しておくことをおすすめします。
点検

電気サウナを設置したあと、事故を防止したり災害時に備えるためにも日常的な点検が必要です。
ここでは日本サウナ・スパ協会で定めている指針をいくつか抜粋しつつ、引き渡し時に発注者側で押さえておきたい項目を加えて紹介していきます。
引き渡し時に、発注者側でも確認しておくこと
電気設備は施工会社に任せる領域ですが、任せきりにすると「問題が起きてから初めて中を見る」ことになりがちです。引き渡しの立ち会いで、次の4点だけは記録を残しておくと後の判断が早くなります。
| 確認項目 | 見るところ |
|---|---|
| 絶縁抵抗の測定 | 一次側・二次側とも、各系統が正常値であること。測定値を書面で受け取る |
| 一次側の電圧 | 設計どおりの電圧が実際に来ているか |
| 端子の締め付け | 制御ユニット内部の端子に緩みがないか。増し締めの実施記録 |
| 制御ユニットの収まり | 屋外設置なら防水・耐候盤に入っているか |
いずれも、開業後に不具合が出たときの比較対象になる数字です。初期値が手元にあれば、劣化なのか初期不良なのかを切り分けられる。測定値を書面で受け取っておくかどうかで、後々の原因究明の速さが変わります。
毎日の点検
- 起動・停止のスイッチの作動
- 温度調節機能の作動
- 設定に沿った能力がストーブから出ているか
- ストーブの周りに可燃物がないか
加えて、サウナストーンの割れと詰まりも日常的に見ておきたいところ。破片がヒーターの隙間を塞ぐと熱がこもり、エレメントの早期故障につながります。「温まるのが遅くなった」は放置せず、その日のうちに原因を確認する。
月1回の点検
- ストーブ運転時の電流値の確認
- ストーブおよび電路の絶縁抵抗値の確認
- 漏電遮断器の動作確認
絶縁抵抗値は、引き渡し時に記録した初期値と並べて見ると変化がつかめます。単発の数字ではなく、推移で判断するのが月次点検の勘所。
年1回の点検
- ストーブの構造の点検
- 制御ユニット内部の端子・配線の目視点検(焦げ・変色・緩みの有無)
- 端子の増し締め
年次点検で見落とされやすいのが、制御ユニットの内部です。ストーブ本体に異常がなくても、端子や配線が焦げて漏電の原因になっているケースがあります。高温での常用や長時間の連続運転を続けている施設ほど、金属の膨張と収縮でネジが緩み、接触部だけが発熱しやすい。
注意!
漏電遮断器が頻繁に作動するからといって、感度電流を鈍くする方向で対処するのは避けてください。進行している異常のサインを見えなくしてしまう可能性があります。原因を特定したうえで、有資格者に判断してもらう領域です。
まとめ
事業用サウナの電気設備は、設計時の要件(電圧・回路・配線・機器の適法性)と、引き渡し時の記録、そして開業後の点検という3つの段階に分けて考えると抜けが減ります。とくに引き渡し時の測定値を書面で残しておくことは、費用がかからないわりに効き目の大きい一手。
安全対策全般の考え方はサウナ施設における安全対策とリスク管理のポイント、家庭用との違いは業務用サウナ導入のメリットと家庭用サウナとの違いで扱っています。
idetoxでは豊富な品ぞろえで事業用サウナを取り扱っております。
サウナの導入に関してお悩みでしたら、「お問い合わせページ」か「お電話(092-407-7887)」よりお気軽にご相談くださいませ。
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