サウナの体感温度を上げる方法:理想的な温度・湿度・風速の設定とは?
はじめに
サウナ施設やサウナの種類によって温度や湿度が異なり、整い具合も変わりますよね。場所によっては「全然温度が低くて、整えなかった」なんてこともあります。
こんなときに皆さんが考えている温度はおそらく「体感温度」です。
「体感温度」は「気温」「湿度」「風」の3つが関わっていて、単純にサウナ室の温度だけで判断できません。
特に自宅サウナやプライベートサウナでサウナを立ち上げるときには、この体感温度の関係をしっかりと理解しておかなければ、気持ちのいいサウナ空間は作れません。
そこで、ここでは体感温度の感じ方と理想的なサウナの温度・湿度について解説していきます。
温度と湿度、体感温度の関係
まずは温度・湿度・風速・体感温度の関係を解説します。
体感温度を計算するときにはミスナール(Missenard)式(改良版)というものが一般的です。これは以下のように計算されます。
tn = 37 - ( 37 -t) / ( 0.68 - 0.0014 × h + 1 / a ) - 0.29 × t × ( 1 - h / 100 )
tn:体感温度(℃)、t:気温(℃)、h:湿度(%)、v:風速(m/s)、a: = 1.76 + 1.4 × v0.75
この式からも分かるように、体感温度を決める要素は「気温」「湿度」「風速」の3つです。それぞれの値が上がれば体感温度も上がっていきます。
2022年のサウナシュランで1位になった「スパメッツァおおたか」ではロウリュ時にブロワーから爆風を受けることができますが、これは体感温度を上げるのに役立っています。
サウナの温度と体感温度の関係
では、温度(気温)と体感温度の関係を縦軸を体感温度、横軸を気温(サウナ室の温度)としてグラフにしてみます。
一部の例外を除いて、温泉施設などのサウナ室では自然換気や機械換気が行われています。しかしアウフグースなどがない限り、風を直接感じることはほとんどないでしょう。また、自宅サウナのような小型のものは換気口(通気孔)がないものも多いですので、当然風速はほぼありません。そのためここでは一旦、風速0m/sとして考えます。
日本の一般的なドライサウナは湿度が10%前後、フィンランド式サウナは20%前後のため、湿度が0%、10%、20%の3パターンで作成しました。
結果はサウナ室の温度(気温)に比例して体感温度も上がっていっていますね。単純に気温を上げれば上げるほど体感温度も上がります。
サウナの湿度と体感温度の関係
次は縦軸を体感温度、横軸を湿度として、湿度と体感温度の関係をグラフにしてみます。
ここでも同じく風速は0m/sとし、気温は70℃、80℃、90℃の3パターンで計算しています。
気温と同様に、湿度と体感温度にも比例関係があります。同じ気温でも湿度を上げれば上げるほど体感温度は上がります。
ただし、湿度が100%になっても体感温度が気温を超えることはありませんのでご注意ください。
サウナの風速と体感温度の関係
最後に縦軸を体感温度、横軸を風速として、風速と体感温度の関係をグラフ化してみます。
気温は90℃、湿度は15%として、風速に応じた体感温度を計算していきます。
風速は気温や湿度とは異なり、体感温度が曲線的に上がります。特に風速が「0」と「2」では体感温度に大きな差があることが分かります。
つまり、少しでもサウナ室内で風を浴びたり、風の流れを作ることは体感温度の観点では非常に重要なのです。
ちなみに家庭用扇風機の「強」の風を至近距離で浴びても風速は「5m/sもない程度」とされています(参考)。心地よいサウナ空間を作るためには、室内の風速は「2m/s」くらいが限界かもしれません。
自宅サウナやプライベートサウナで体感温度を上げたいときは?
自宅サウナやプライベートサウナ、またテントサウナなどで「もっと温度を上げたい」というときがありますよね。
ストーブやヒーターの温度を高くできれば対応できますが、サウナ室が広かったり、ストーブが小型(低出力)だったり、外気温が低いときにはそれだけでは対応できないこともあります。
こういったときには「温度」ではなく、「湿度」と「風速」に目を向けると良いでしょう。
湿度を上げる
ロウリュ対応のストーブであればロウリュをすることでサウナ室内の「湿度」が上がり、体感温度が上がります。
ロウリュ非対応であれば、ボウルに水やお湯を入れてサウナ室内にしばらく置くだけでも体感温度の違いが感じられるでしょう。
風速を上げる
手軽なのに見落とされがちなのが「風」です。
まず、可能であればサウナ室の換気口の位置やファンの強さなど、換気方法を見直すと良いでしょう。換気の循環が効率良くなることで自然に風の流れが生まれ、体感温度を上げる効果があります。ただし、外気温が十分に低いときなどは逆に体感温度が下がってしまうリスクもあるため、注意が必要です。
また、比較的低い温度や湿度でも、団扇などを使って「セルフアウフグース」をするのも一つの手です。これだけでも体感温度が大きく変わり、グッとサウナが気持ちのいい空間に変わると思います。
もちろん、湿度や風速は自分が不快にならない程度に調整することが大切です。
理想的なサウナの温度と湿度の目安は?
初めて自宅サウナやプライベートサウナを立ち上げるとき、どのくらいの温度や湿度を目指せば良いか悩みますよね。特に、自分の好みの温度や湿度が分かっていないサウナーさんであればなおさらです。
そんなときは以下の2つの基準を目安にすると良いでしょう。
日本サウナ・スパ協会の見解
日本サウナ・スパ協会のサウナ・スパプロフェッショナル公式テキストによると、次のような記載があります。
床から1.5~1.7mの高さの乾球温度で90℃、湿球温度で50℃、絶対湿度で55(g/kg)くらいが理想的で、多くの人々に好まれるサウナ室内の状態とされています。
湿球温度や絶対湿度などは馴染みがない方も多いかもしれませんが、これを分かりやすく換算すると「温度が90℃、湿度が約14%」となります。(風速0m/sのとき、体感温度では約58℃)
特別こだわりがなければ、この基準でサウナ室内を温めると良いでしょう。
海外の考え方(200の法則)
海外のサウナでは「200の法則(Rule of 200)」というものが使われることがあります。これは「温度(華氏°F) + 湿度(%) = 200」 となる状態が理想的なサウナとされる考え方です。例えば「サウナ室内の温度が180°F(約82℃)のときには湿度を20%にする」といった具合です。
科学的な根拠はないようですが、海外のサウナ関連の記事では時々見かけることがあり、実践しているサウナーも多いようです(参考)。
日本では気温は摂氏(℃)で表すため、以下に簡単な早見表を作成しました。「200の法則」を試してみたい方は参考にしてみてください。
温度(℃) | 温度(°F) | 湿度 (%) | 体感温度(℃) |
---|---|---|---|
70 | 158 | 42 | 53 |
75 | 167 | 33 | 54 |
80 | 176 | 24 | 54.8 |
85 | 185 | 15 | 55.2 |
90 | 194 | 6 | 55.2 |
95 | 203 | - | 55.9 |
100 | 212 | - | 58.5 |
理想的なサウナの体感温度は?
日本サウナ・スパ協会の温度・湿度の基準を見ても、海外の「200の法則」を見ても、どちらも体感温度はだいたい55~60℃くらいになります。
そのため、心地の良い理想的なサウナは、体感温度で考えると「55℃~60℃」だと言えます。
まとめ
- サウナの体感温度を上げるには「温度」「湿度」「風速」を上げる
- 最も手軽な方法は扇風機やうちわを使って風の流れを作ること
- 最も好まれるサウナの設定は温度:90℃、湿度:約14%
- 華氏°F + 湿度%=200を目安にする方法もある
- 理想的なサウナの体感温度は55~60℃程度
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