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薬草サウナの効果と注意点|6種類の代表的な薬草の特徴と歴史を解説

薬草サウナの効果と注意点|6種類の代表的な薬草の特徴と歴史を解説

はじめに

近年、サウナの中でも特に再注目されてきているのが「薬草サウナ」です。フィンランド式サウナとは異なり、東南アジアのハーブサウナや日本の薬草風呂の要素を取り入れたサウナが、都市部を中心に増加し、特に2023年以降は、より効果的なリラックスや美容効果を求める女性を中心に人気を集めているように感じています。

この記事では、そんな薬草サウナの効果や特徴について、詳しく解説していきます。

 

薬草サウナとは

薬草サウナは、サウナ空間に薬草の効能を組み合わせたサウナの楽しみ方の一つです。「最近注目されている新しいサウナの形」と考えられがちですが、実はその原型の歴史は古いものです。

もともと中国を中心とした東アジアでは、漢方の知識を活かした蒸し風呂として、また東南アジアでは伝統医療の一環として発展し、中国の漢方蒸しや、タイの伝統的ハーブサウナが、現代の日本の薬草サウナの原型となっています。

これらの入浴法は日本では奈良時代に遣唐使によって伝えられたとされており、そこから『薬草風呂』として独自の発展を遂げ、現代では2000年代頃から温浴施設やスパなどで、サウナの一つとして提供されてきました。

 

基本的な特徴

一般的な薬草サウナは以下のような特徴があります。

項目 特徴
温度 40~60℃
湿度 80~100%
推奨時間 15~20分
休憩時間 10~15分

温度の低さや湿度の高さからも分かるように、薬草サウナは「フィンランド式サウナ」や「ドライサウナ」と呼ばれるものの仲間ではなく、「スチームサウナ」の仲間となっています。

最近ではフィンランド式サウナで薬草系の香りを漂わせたり、薬草フレーバー入りのロウリュ水を使ったりすることがありますが、厳密にはこれらは『薬草サウナ風フィンランド式サウナ』で、薬草サウナではありません。

 

サウナと香りの相乗効果

薬草サウナの特徴を理解したところで、なぜサウナと香りを組み合わせることが良いとされているのか、またなぜ大きな効果が得られるのか、その仕組みを詳しく見ていきましょう。

相乗効果が生まれる理由一覧

  • 高温による皮膚の吸収力向上
  • 湿度による香り成分の拡散
  • 代謝促進と香り成分の相互作用
  • リラックス効果の増大
  • 心身の解放感の強化

身体面での効果

サウナの高温な環境下では、皮膚の毛穴が開き、通常時より薬効成分の肌への吸収が促進されると考えられています。また、高湿度環境では、薬草の香り成分が蒸気と共に空間全体に行き渡り、呼吸を通じた成分の吸収も活発になるとされています。

 

精神面での効果

サウナでは血行が促進したり、筋肉の緊張がほぐれたりとリラックス効果がありますね。そこに薬草の香りによるリラックスやリフレッシュ効果が加わることでさらに心身の調和が促進されます

加えて、熱ストレスを受けているサウナの中では香りへの感受性が高まるとされています。そのため、普通に薬草の香りを嗅ぐよりも、サウナの中で香りを嗅ぐほうが、香りから得られる効果が高まりやすいと考えられています。

 

代表的な薬草と効果一覧

薬草サウナで使用される代表的な薬草には、それぞれ特徴的な効果があります。以下の表を参考に自分の目的や体調に合わせて選んでいきましょう。

薬草名 主な効果 おすすめの人・タイミング
ヨモギ 血行促進、冷え性改善、疲労回復 ・冷え性の人
・生理前後の女性
・デスクワークで体が凝っている人
レモングラス リフレッシュ、解毒作用、疲労回復 ・朝一番のサウナ利用者
・仕事前の気分転換したい人
・デトックスしたい人
生姜 代謝促進、免疫力向上、発汗作用 ・風邪気味の人
・ダイエット中の人
・体を温めたい人
パンダンリーフ リラックス、美肌効果、不眠改善 ・仕事帰りの人
・睡眠の質を上げたい人
・美容目的の人
カフィアライム 気分転換、呼吸器系ケア、集中力向上 ・花粉症の人
・頭をクリアにしたい人
・喉の調子が悪い人
当帰 ホルモンバランス調整、血流改善 ・更年期の女性
・貧血気味の人
・むくみが気になる人

 

ヨモギ:日本の伝統的な薬草

ヨモギは古来より日本で重宝されてきた馴染み深い薬草ですね。奈良時代から薬草風呂の材料として使用され、特に端午の節句には菖蒲(ショウブ)と共に入浴に用いられてきました。漢方では「艾(がい)」とも呼ばれ、婦人病や冷え性の改善に用いられてきた歴史があります

レモングラス:東南アジアの万能ハーブ

レモングラスは、タイやベトナムで古くから利用されてきたハーブです。伝統的な蒸し風呂では、疲労回復などを目的として重用されてきました。爽やかなレモンのような香りが特徴で、料理の香辛料としても使用されていますね。

生姜:世界共通の癒しの根

生姜は東アジアを中心に、数千年にわたって薬用として使われてきました。中国の古い医書『神農本草経』にも記載があり、温熱効果と発汗作用を活かして、現在でも生姜湯や生姜風呂として冬によく利用されていますね。

パンダンリーフ:東南アジアの神秘的な葉

ここからあまり聞き馴染みのない薬草になります。パンダンリーフは、タイやインドネシアで「香りの葉」として知られる植物です。パンダナス科の常緑樹の葉で、バニラのような甘い香りが特徴です。伝統的には枕に入れて不眠改善に用いられ、現地のスパでは定番のハーブとして使用されているようです。

カフィアライム:タイ伝統医療の香り

カフィアライムは、タイの伝統医療でよく用いられるという柑橘系の植物です。通常のライムとは異なる独特の香りを持ち、その葉は伝統的なハーブサウナで呼吸器系の健康維持に使用されてきました。タイ料理のトムヤムクンに使用される香辛料でもあります。

当帰(トウキ):漢方の代表的な薬草

当帰は中国で2000年以上前から使用されている薬草です。「女性の味方」として知られ、特に血行促進や女性特有の不調改善に用いられてきました。日本には奈良時代に伝来し、漢方薬の重要な構成生薬として現在でも使用されています。

 

薬草サウナの入り方

薬草サウナは基本的にはスチームサウナと同じ入り方です。フィンランド式サウナなどに比べて温度が低いため、15~20分とやや長めに入ることが推奨されています

  • サウナ前にシャワーを浴び、しっかり拭き取り
  • 最初は下段のベンチから入浴を開始
  • 初めてなら5分程度、慣れれば15-20分まで
  • 退室後は水分補給と10-15分の休憩
  • 体調を見ながら2-3セット繰り返し

 

薬草サウナの注意点

薬草サウナは多くの効果が期待できる一方で、安全に利用するために知っておくべき注意点があります。特に薬草は、その有効成分が高温多湿の環境下でより強く作用するため、通常の利用以上に注意が必要です。

薬草アレルギーのリスクと対策

薬草には、通常のアロマや香りと比べて強い生理活性成分が含まれています。

最初に触れたように高温多湿の環境では、これらの成分がより活性化されるため、思わぬアレルギー反応を引き起こす可能性があります。特に初めて利用する薬草の場合、以下の手順で慎重に試すようにしましょう。

  • 最初は短時間で様子を見る
  • 皮膚の反応を24時間観察する
  • 問題がなければ徐々に時間を延ばす
  • 複数の薬草を組み合わせる場合は一種類ずつ試す

また以下のような症状が出たときには、すぐにサウナから出て、症状が落ち着くまで安静にし、もし症状が治まらない場合は医療機関で診察してもらいましょう。

  • かゆみ
  • 発疹、蕁麻疹
  • のどのイガイガ
  • 鼻水やくしゃみ
  • 吐き気
  • 頭痛

ときどき、複数の種類の薬草サウナがある大規模な温浴施設がありますね。初めて訪れたときに、「せっかく来たし」と、すべての種類の薬草サウナに入ってみたくなる気持ちもわかります。しかし、一度に複数の薬草を試すと、万が一アレルギー反応などが起きた際にどの薬草が原因でアレルギー反応が起きたのか判断が難しくなります。特に敏感肌やアレルギー体質の方は、まずは1種類ずつ薬草を短時間試し、問題がないことを確認してから徐々に他の薬草に挑戦することをおすすめします。

薬草の種類による特有の注意点

薬草によって作用や注意点が異なるため、それぞれの特性を理解して使用することが重要です。以下に代表的な薬草とその注意点を簡潔にまとめました。

生姜

強い発汗作用があり、過剰な発汗による脱水症状を引き起こす可能性があります。事前の水分補給を徹底し、短時間から試すことをおすすめします。

ヨモギ

子宮収縮作用があるため、妊娠中の方は使用を避けましょう。また、アレルギー反応が出る可能性があるため、敏感肌の方はパッチテストを行うことが重要です。

レモングラス

精油成分が強いため、喉や鼻の粘膜に刺激を与える可能性があります。呼吸器が敏感な方は注意し、蒸気を吸い込む際には違和感を覚えた場合すぐに使用を中止してください。

 

 

まとめ:薬草サウナを安全に楽しむために

薬草サウナは、古くから伝わる伝統療法と現代のリラクゼーション文化が融合した魅力的なサウナスタイルの1つです。その温度や湿度の特徴、香りと熱による相乗効果によって多くの効果が期待できます。

一方で、安全に楽しむためには薬草の特性やアレルギーのリスクを理解し、自分に合った利用方法を選ぶことが重要です。初めて試す方は、一種類の薬草から短時間で試すなど、慎重に取り組むことをおすすめします。

サウナにハマり「サウナ・スパ 健康アドバイザー」や「サウナ・スパ プロフェッショナル」「サウナ・スパ 健康士」の資格を取得。 サウナの利用は週に1回程度のミドルユーザーです。主に記事の執筆を担当しています。

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