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コラム

妊活中のサウナはNG?サウナの熱が精子に与える事実

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妊活中はサウナを避けるべき?サウナが精子に与える影響 idetox オンラインショップ

はじめに

サウナ室で座っている男性のイメージ。高温環境が精子に与える影響を示す

「サウナに入ると精子が死ぬ」——そんな話を耳にして、不安を感じたことはありませんか?

近年のサウナブームで、健康や美容効果を求めてサウナを楽しむ男性が増えています。しかし、妊活中や将来子どもを望む男性にとって「サウナの熱で精子が死んでしまうのでは?」という疑問は切実な問題です。

結論から言うと、サウナの熱によって精子が一時的にダメージを受けることは科学的に確認されていますが、その影響は可逆的であり、サウナをやめれば回復します

この記事では、サウナが精子に与える影響について最新の科学研究をもとに詳しく解説します。妊活への影響や、サウナ好きな方が取るべき対策まで、知っておくべき情報をidetoxがお届けします。

 

サウナで精子は死ぬのか?熱と精子の関係を解説

まず知っておきたいのは、精子がなぜ熱に弱いのかという基本的なメカニズムです。

男性の精巣(睾丸)は体温よりも約2~3℃低い温度で維持されています。これは精子形成(スペルマトジェネシス)に最適な温度環境を保つためです。

人間を含む多くの哺乳類で精巣が体外に位置しているのはこのためです。陰嚢(いんのう)という袋状の組織が精巣を体外に維持し、精巣を支えるセルトリ細胞が精子の成熟を助けながら、常に適温になるよう調整しています。

精巣が高温にさらされると精子はどうなる?

リビアのバイオテクノロジー研究センター(BTRC)が2019年に発表した研究によると、「精巣の温度がわずかに上昇しただけでも、数週間精子の数が減少する」ことが示されています。

つまり、「サウナで精子が死ぬ」という表現は、厳密には「精子の生産能力が一時的に低下する」というのが正確です。既存の精子が即座に全滅するわけではありませんが、新たな精子の生成に影響が出ます。

POINT

精子は熱に弱く、サウナの高温環境にさらされると生産能力が低下します。ただし、これは「精子が死ぬ」というより「精子の質と量が一時的に低下する」という現象です。

日常生活でも、以下のような状況で精巣に「熱ストレス」が加わることがあります:

  • サウナやスチームサウナの利用
  • 長時間の入浴や熱いお風呂
  • ノートパソコンを膝の上に長時間置く
  • 長時間の座りっぱなし(特にヒーター付き座席)
  • きつめの下着の着用

 

サウナが精子に与える具体的な影響:科学研究データ

サウナの熱が男性の精子形成に与える影響を説明する医学的イメージ

では具体的に、サウナは精子にどのような影響を与えるのでしょうか。複数の科学研究から、その答えが見えてきています。

サウナ利用で精子数が有意に減少するという研究結果

イタリアのパドヴァ大学のアンドレア・ガローラ氏らの研究では、週に2回、3か月間サウナを利用すると精子の濃度と運動性が有意に低下することが明らかになりました。研究では精子濃度および総精子数の顕著な減少が確認されています。

また、トルコの泌尿器科医コスクン・カヤ氏らの2020年の研究でも、「サウナを定期的に使用する男性は精子濃度が低下している」という結果が報告されています。

サウナの熱が精子に与える4つの影響

影響の種類 具体的な変化 可逆性
精子数の減少 精子濃度が有意に低下 あり(中止後回復)
運動性の低下 精子の泳ぐ能力が低下 あり(中止後回復)
DNA損傷 精子のDNA構造に異常 あり(中止後回復)
ミトコンドリア機能低下 精子のエネルギー産生能力低下 あり(中止後回復)

これらの研究結果から、サウナの高温環境は確かに精子の質と量に一時的な悪影響を与えることがわかります。

サウナによる精子数の変化





サウナ前
サウナ後
回復後
※ガローラ研究(2013年)のデータを元に作成

 

サウナをやめると精子は回復する?回復までの期間

サウナの利用によって精子の質と量が低下することがわかりましたが、気になるのはその影響がどれくらい続くのかということです。

サウナをやめた後、精子が元の状態に回復するまでには3~6ヶ月程度必要です。これは精子形成サイクルの期間に基づいています。

先ほど紹介したガローラ氏らの研究によると:

サウナの使用をやめてから3ヶ月後までは精子の量が減少したままになる。サウナを止めてから6か月後には、精子の生産などへの影響はなくなっている

なぜ回復に時間がかかるのか?

これは、精子の生成サイクル(精子形成)が約70~90日(約2~3ヶ月)かかるためです。精原細胞から成熟した精子になるまでのプロセスは複雑で、セルトリ細胞のサポートを受けながら段階的に進行します。

精子が完全に生成され成熟するまでに約3ヶ月必要で、サウナによって影響を受けた精子が全て入れ替わるには約半年かかることになります。

POINT

精子の完全な回復には時間がかかります。研究結果によると、サウナ中止後3ヶ月で回復傾向が見られ、6ヶ月でほぼ完全に回復するとされています。つまり、妊活を本格的に始める場合は、半年前からサウナを控えることが理想的です。

ただし、オーストラリアのシドニー大学が1984年に行った研究では、ドライサウナを短期間だけ利用した場合は「約5週間で正常に戻り、10週間後には正常よりも増加した」という結果も報告されています。

これらの研究から、サウナの影響は永続的なものではなく、一定期間後には回復することがわかります。「サウナで精子が死ぬ」と心配している方にとって、これは安心できる情報ではないでしょうか。

 

サウナと妊娠の関係:妊活中は本当に控えるべき?

ここまでの情報を見ると「妊活中はサウナを避けるべき」と思われるかもしれませんが、実はそう単純ではありません。

ただし、ここで重要な注意点があります。「精子の濃度が減ること」と「妊娠する能力が下がること」は必ずしもイコールではありません。相関関係と因果関係は異なるものであり、この点を混同しないことが大切です。

サウナ大国フィンランドのデータをどう解釈すべきか

イギリスのインペリアル・カレッジ・ロンドンの名誉教授イルポ T. フタニエミ氏らの研究によると、「定期的にサウナを利用することは、生殖能力の低下とは関連しない可能性がある」とされています。

サウナが日常文化として定着しているフィンランドでは、不妊治療の実施件数は日本よりも少ないというデータもあります。

野村総合研究所の調査によると、人口100万人あたりの体外受精実施件数は:

  • フィンランド:870件
  • 日本:1,323件

注意!

このデータの解釈には細心の注意が必要です。不妊の原因は非常に多岐にわたり、サウナだけが関連しているわけではありません。年齢、生活習慣、食生活、環境要因、医療アクセス、そして何より重要なのは人種や体質の違いです。幼少期からサウナに慣れ親しんだフィンランド人と日本人では、熱への耐性や身体の反応が異なる可能性があります。上記のデータだけで「サウナは妊娠に影響しない」と結論づけることは科学的に正しくありません。

妊娠への影響を考える際のポイント

サウナと妊娠の関係については、以下のような要素も考慮する必要があります:

  • 人種や体質による熱耐性の違い
  • サウナの種類(ドライサウナ、スチームサウナなど)
  • サウナの入り方や頻度
  • 幼少期からのサウナ習慣の有無
  • その他の生活習慣(喫煙、飲酒、運動など)

現時点ではサウナの利用が直接的に不妊につながるという明確な因果関係は証明されていません。しかし、妊活中の方がより確実に妊娠の可能性を高めたいのであれば、一時的にサウナを控えることも選択肢の一つでしょう。

妊活中のサウナ利用についてより詳しく知りたい方は、「妊娠中や妊活中のサウナ利用:リスクと効果、そして安全な選択」もご参照ください。

 

妊活中もサウナを楽しみたい方への対策

サウナが好きで日常的に利用している方が、妊活中もできるだけサウナを楽しみたい場合、以下のような対策を取ることで影響を最小限に抑えられる可能性があります。

対策1:利用頻度と時間を調整する

研究結果によると、サウナによる影響は利用頻度や時間に関係しています。妊活中は以下のような調整を検討してみてください。

  1. 1回あたりの利用時間を10分以内に短縮する
  2. 週1回程度に頻度を減らす
  3. 高温(90℃以上)のサウナは避け、80℃程度に設定する

対策2:サウナ後の冷却を徹底する

サウナ後の水風呂や冷水シャワーは、体温と精巣温度を素早く下げる効果があります。特に妊活中は冷却時間をしっかり取りましょう。

対策3:ゆるめの下着を選ぶ

研究によると、精子の質に影響を与える要因として「きつい下着」も報告されています。ボクサータイプなど、ゆったりとした下着を選ぶことで精巣の温度上昇を防げます。

対策4:妊活直前期間はサウナを中断する

パートナーの排卵日が近づいてきたら、2~4週間前からサウナを一時中断するのも効果的かもしれません。

POINT

自宅にサウナがあれば、温度設定を下げたり滞在時間を短くするなど、妊活中に合わせた細かな調整が可能です。idetoxの自宅用サウナなら、妊活に適した80℃設定も自分で調整でき、自分のペースで安心してサウナを楽しめます。

 

まとめ:サウナで精子は死ぬのか?妊娠への影響と対策

サウナと精子の関係についてのまとめ。妊活中の男性に向けた情報

この記事では、「サウナで精子が死ぬ」という噂の真相と、妊娠への影響について科学的な研究結果をもとに解説してきました。

結論:サウナの熱で精子は一時的にダメージを受けますが、「死ぬ」というより「質と量が低下する」というのが正確な表現です。そして、この影響は可逆的で回復します。

ポイントをまとめます:

  • サウナの高温は精子の量・質に一時的な影響を与える:継続的にサウナを利用すると、精子濃度と運動性が有意に低下する可能性があります。
  • 影響は可逆的である:サウナの利用を中止すると、3~6ヶ月程度で精子は回復します。
  • 妊娠への直接的な影響は因果関係が不明確:精子濃度の低下が直接的に妊娠率の低下につながるかどうかは、現時点では科学的に証明されていません。
  • サウナ愛好家は適切に調整を:利用時間・頻度の調整、冷却の徹底、下着の選択などで影響を最小限に抑えられる可能性があります。

サウナには身体をリラックスさせたり、免疫力を高めたりするなど多くの健康効果があります。妊活中だからといって完全に避ける必要はないかもしれませんが、より確実に妊娠を望むなら、一時的に控えることも選択肢の一つです。

最終的には、カップル一人ひとりの状況や専門医のアドバイスを踏まえて、サウナとの付き合い方を決めることが大切です。

 

参考文献

1. Garolla A, et al. "Seminal and molecular evidence that sauna exposure affects human spermatogenesis." Human Reproduction. 2013 Apr;28(4):877-85.

2. Brown-Woodman PD, et al. "The effect of temperature on the male reproductive system." Andrologia. 1984 Jul-Aug;16(4):345-51.

3. Kaya C, et al. "The effect of sauna on semen quality." International Brazilian Journal of Urology. 2020.

4. Hutaniemi IT, et al. "Effects of sauna on reproductive function." Reproductive BioMedicine Online. 2019.

5. 野村総合研究所「諸外国における不妊治療に対する経済的支援等に関する調査研究」2021年。

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サウナにハマり「サウナ・スパ 健康アドバイザー」や「サウナ・スパ プロフェッショナル」「サウナ・スパ 健康士」の資格を取得。 サウナの利用は週に1回程度のミドルユーザーです。主に記事の執筆を担当しています。

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