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コラム

その入り方、本当に安全?サウナに潜む10のリスクと正しい知識

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その入り方、本当に安全?サウナに潜む10のリスクと正しい知識

はじめに

仕事や運動で疲れた日には、サウナで思いっきり汗をかいてリフレッシュしたくなることがありますね。しかし、「サウナで倒れた」「気分が悪くなった」という話を耳にして、不安を感じたことがある方もいらっしゃるのではないでしょうか。

結論から言うと、サウナで起こりうる危険の多くは、正しい知識と適切な対策によって予防できます。この記事では、サウナ利用時に注意すべき主なリスクと、それぞれの具体的な安全対策を網羅的にまとめました。初心者の方はもちろん、サウナ愛好家の方にも改めて確認していただきたい内容です。

 

サウナで起こりうる主なリスク

サウナを安全に楽しむためには、まずどのような危険があるのかを正しく理解することが第一歩です。ここでは、サウナ利用時に起こりうる5つの主要なリスクについて、そのメカニズムとともに解説します。

脱水症状のリスクとメカニズム

結論:サウナでは大量の水分と電解質が失われるため、適切な水分補給を怠ると脱水症状を引き起こす危険があります。

サウナでは大量の汗をかきます。フィンランドの研究によると、1回のサウナ浴(15〜20分程度)で失われる水分量は約300ml〜500mlに達することが報告されています。

サウナ浴中の発汗量は、室温、湿度、滞在時間によって異なるが、平均して1回のセッションで0.5kg程度の体重減少が観察される。Laukkanen et al., Mayo Clinic Proceedings, 2018

なぜ脱水症状が起こるのでしょうか。サウナの高温環境に入ると、体は体温を下げようとして発汗を促進します。汗には水分だけでなく、ナトリウムやカリウムといった電解質も含まれています。これらが大量に失われると、体内の水分バランスと電解質バランスが崩れ、以下のような症状が現れます。

  • めまい・立ちくらみ
  • 頭痛・倦怠感
  • 吐き気
  • 筋肉のけいれん(電解質不足による)
  • 意識がもうろうとする

特にアルコールを摂取した後のサウナは、アルコールの利尿作用によって脱水リスクが大幅に高まります。脱水症状についてより詳しく知りたい方は、サウナと脱水症状の関係について解説した記事をご覧ください。

 

熱中症のリスクとメカニズム

結論:サウナ室は80〜100℃という極めて高温な環境であり、長時間の滞在は熱中症を引き起こす可能性があります。体調に異変を感じたら、すぐに退室してください。

熱中症は、高温環境に長時間いることで体温調節機能が追いつかなくなり発症します。人間の体は、視床下部にある体温調節中枢が発汗や血管拡張を通じて体温を一定に保っています。しかし、サウナのような極端な高温環境では、この調節機能が限界を迎えることがあります。

特に以下のような条件では、熱中症のリスクが高まります。

  • 水分補給が不十分な状態
  • 睡眠不足や疲労が蓄積している
  • 初心者が上段(より高温)に長時間滞在する
  • 我慢比べのように無理をする

なぜサウナで熱中症になりにくいのか、また熱中症を防ぐ入り方については、サウナと熱中症に関する詳細記事で解説しています。

 

ヒートショックのリスクとメカニズム

結論:急激な温度変化は血圧の急変動を引き起こし、心臓や血管に大きな負担をかけます。特に持病のある方は、ヒートショックに十分な注意が必要です。

ヒートショックとは、急激な温度変化によって血圧が大きく変動し、心臓や血管に負担がかかる現象です。サウナから水風呂に入る際や、サウナ後に冷たい外気に触れる際に起こりやすくなります。

そのメカニズムを解説します。サウナの高温環境では、体は熱を逃がすために血管を拡張させます。この状態で急に冷水に入ると、交感神経が急激に活性化し、血管が収縮して血圧が急上昇します。この血圧の急変動が、心臓や脳血管に大きな負担をかけるのです。

サウナ後の冷水浴は、収縮期血圧を平均20〜30mmHg上昇させることが報告されている。Kunutsor et al., BMC Medicine, 2018

注意!

高血圧、心臓疾患、動脈硬化などの持病がある方は、ヒートショックのリスクが特に高くなります。サウナ利用前に必ず医師に相談してください。

ヒートショックのメカニズムとリスク軽減の方法については、サウナとヒートショックに関する記事をご参照ください。

 

水風呂での事故リスク

結論:水風呂は「ととのい」に欠かせない一方で、心臓への急激な負担や意識消失による溺水など、複数の危険が潜んでいます。段階的に体を冷やすことが重要です。

サウナ後の水風呂は「ととのい」を得るために欠かせない工程ですが、実は複数のリスクが潜んでいます。

  • 心臓への急激な負担:冷水による末梢血管の収縮で血圧が急上昇し、心臓に大きな負荷がかかる
  • 不整脈の誘発:急激な温度変化が迷走神経を刺激し、心臓のリズムを乱す可能性がある
  • 溺水リスク:意識消失や失神が水中で起これば、溺水事故につながる
  • 過呼吸:冷水刺激による「寒冷ショック反応」で呼吸が乱れる

水風呂に関する6つのリスクと安全な楽しみ方は、水風呂の危険性について詳しく解説した記事でご確認いただけます。

 

転倒・滑落事故のリスク

結論:サウナ室内や浴室は滑りやすく、サウナ後はめまいや立ちくらみが起こりやすいため、転倒のリスクが高まります。ゆっくりとした動作を心がけてください。

サウナ室内や浴室は、汗や水で滑りやすい環境です。また、サウナ後は血圧の変動によってめまいや立ちくらみが起こりやすく、転倒のリスクが高まります。特に高齢者の方は、骨密度の低下により骨折などの重傷につながる可能性があるため、十分な注意が必要です。

 

サウナを安全に楽しむための基本対策

ここからは、上記のリスクを回避し、安全にサウナを楽しむための具体的な対策をご紹介します。

入浴前の準備が安全の鍵

結論:サウナに入る前の準備が、安全なサウナ体験の8割を決めると言っても過言ではありません。

  1. 十分な水分補給:入浴30分前にコップ1〜2杯(200〜400ml)の水を飲む
  2. 体調の確認:風邪気味、睡眠不足、疲労が溜まっているときは控える
  3. 食事のタイミング:満腹時・空腹時を避け、食後1〜2時間空ける
  4. アルコールを避ける:飲酒後のサウナは絶対にNG
  5. かけ湯で体を慣らす:いきなりサウナ室に入らず、まず体を温める

初心者がよくやりがちな失敗については、サウナ初心者の失敗あるあるで詳しく解説しています。

 

サウナ室での過ごし方

チェックポイント 推奨事項
1回の滞在時間 初心者:5〜8分、慣れた方:10〜15分を目安
座る位置 初心者は下段から始める(上段ほど高温)
入浴回数 1日2〜3セットが目安、無理をしない
体調変化 少しでも異変を感じたらすぐに退室

POINT

「我慢比べ」をしないこと。サウナは自分のペースで楽しむものです。周囲に合わせて無理をすると、事故につながります。

 

水風呂・外気浴での注意点

サウナ後の水風呂は、段階的に体を冷やすことがポイントです。

  1. 水風呂に入る前に、手足に冷水をかけて末梢血管を徐々に慣らす
  2. ゆっくりと入水し、急に潜らない
  3. 水風呂の滞在は1〜2分程度に留める
  4. 水風呂から上がる際は、立ちくらみに注意してゆっくり立つ
  5. 外気浴では椅子に座り、リラックスした姿勢で休む

心臓に持病のある方は、水風呂を避け、ぬるめのシャワー(25〜30℃程度)で体を冷やすことをおすすめします。

 

入浴後のケア

サウナ後も油断は禁物です。以下のケアを忘れずに行いましょう。

  • 水分補給:水やスポーツドリンクでしっかり水分を補給(失った分以上を目安に)
  • ミネラル補給:汗で失われたナトリウム・カリウムも補う
  • 休憩時間の確保:最低15〜30分は安静にする
  • 急な運動を避ける:血圧が安定するまで激しい運動は控える

 

特に注意が必要な方

サウナは多くの方に楽しんでいただけますが、特定の条件に該当する方は、より慎重な判断が求められます。

持病がある方は医師に相談を

結論:以下の持病をお持ちの方は、サウナ利用前に必ず医師に相談してください。自己判断での利用は危険です。

  • 高血圧・低血圧
  • 心臓疾患(不整脈、狭心症、心筋梗塞の既往など)
  • 脳血管疾患(脳卒中の既往など)
  • 糖尿病(特に自律神経障害を伴う場合は体温調節機能が低下している可能性)
  • てんかん
  • 呼吸器疾患

サウナ利用が推奨されない方の詳細については、サウナに向いていない人・控えるべき人について解説した記事をご確認ください。

 

妊娠中・妊活中の方

結論:妊娠中はサウナを避けることが推奨されます。また、妊活中の男性も注意が必要です。

妊娠中のサウナ利用については、高温環境が胎児に与える影響や、脱水・転倒のリスクを考慮すると、利用を控えることが賢明です。

また、妊活中の男性についても、サウナの高温環境が精子に影響を与える可能性があるという研究報告があります。

フィンランドの研究では、週2回以上のサウナ利用が精子の運動性に一時的な影響を与える可能性が示唆されている。Garolla et al., Human Reproduction, 2013

妊娠・妊活とサウナの関係については、妊娠中・妊活中のサウナ利用に関する詳細記事で科学的根拠とともに解説しています。

 

高齢者の方

結論:65歳以上の方は、滞在時間を短めにし、水風呂は避けるか温度を高めに設定することをおすすめします。

加齢に伴い、体温調節機能や血圧調整機能(圧受容器反射)が低下するため、高齢者の方は若い世代よりもサウナでの事故リスクが高まります。

注意!

65歳以上の方がサウナを利用する場合は、滞在時間を短めにし、水風呂は避けるか温度を高めに設定することをおすすめします。可能であれば、一人でのサウナ利用は避けてください。

 

お酒を飲んだ後の方

結論:飲酒後のサウナは、最も危険な行為の一つです。絶対に避けてください。

アルコールには利尿作用があり、脱水リスクを高めます。また、アルコールは血管を拡張させるため、サウナの高温環境と相まって血圧が不安定になりやすくなります。さらに、判断力の低下により危険な状態に気づきにくくなります。

「酔いを覚ますためにサウナに入る」という行為は、生命に関わる重大な事故につながる可能性があります。

 

自宅サウナ・テントサウナの安全対策

近年、自宅でサウナを楽しむ方が増えていますが、施設とは異なる安全上の注意点があります。idetoxでは安全性に配慮した製品を提供していますが、正しい使用方法を守ることが大前提です。

火災リスクへの対策

結論:自宅サウナやテントサウナでは、火災リスクへの備えが欠かせません。適切な設置と管理が命を守ります。

特にテントサウナでは薪ストーブを使用することが多く、不適切な使用は火災の原因となります。消防庁の報告によると、サウナ関連の火災は近年増加傾向にあります。

  • 可燃物からの十分な距離(最低1m以上)を確保する
  • サウナ専用の耐熱テントを使用する(通常のキャンプテントは絶対にNG)
  • 消火器を必ず備える
  • 換気を確保し、一酸化炭素中毒を防ぐ
  • 使用中はその場を離れない

自宅サウナの火災リスクと統計データに基づく安全対策については、自宅サウナの火災リスクと安全対策に関する記事で詳しく解説しています。

 

一酸化炭素中毒への注意

結論:薪ストーブを使用するテントサウナでは、一酸化炭素中毒のリスクがあります。一酸化炭素警報器の設置を強くおすすめします。

一酸化炭素は無色無臭のため、気づかないうちに中毒症状が進行することがあります。一酸化炭素は血液中のヘモグロビンと結合し、酸素の運搬を阻害するため、軽度でも頭痛やめまい、重度では意識障害や死亡に至ることがあります。

注意!

一酸化炭素警報器の設置を強くおすすめします。頭痛やめまいを感じたら、すぐに換気を行い、テントから出てください。

テントサウナのDIYが危険な理由と、安全な製品選びのポイントは、テントサウナはなぜ高いのか解説した記事をご覧ください。

 

設置場所の選び方

テントサウナを安全に楽しむためには、設置場所の選定も重要です。

  • 平らで安定した地面を選ぶ
  • 周囲に可燃物(枯れ葉、木の枝など)がないことを確認
  • 風の影響を受けにくい場所を選ぶ
  • 水場への動線を確保する
  • 緊急時に助けを呼べる環境であることを確認

詳しい設置場所の選び方については、テントサウナの設置場所のポイントをご参照ください。

 

サウナ事故の現状と対策

実際にサウナでどのような事故が起きているのかを知ることは、予防意識を高める上で重要です。

事故の主な原因と対策

事故の種類 主な原因 予防策
意識消失・失神 脱水、ヒートショック、長時間滞在 水分補給、段階的な温度変化、時間管理
心臓発作 急激な温度変化、持病の悪化 医師への相談、水風呂の温度調整
溺水 水風呂での意識消失 一人での利用を避ける、短時間の入水
転倒・骨折 めまい、滑りやすい床面 ゆっくりとした動作、手すりの利用
熱傷 ストーブへの接触、熱い物への接触 周囲への注意、適切な距離の確保

サウナ事故の統計データと詳細な対策については、サウナ事故の現状と対策に関する包括的ガイドで詳しく解説しています。

 

施設選びのポイント

安全にサウナを楽しむためには、施設選びも重要な要素です。

  • スタッフが常駐しているか
  • 緊急時の対応体制が整っているか
  • AEDが設置されているか
  • 清掃が行き届いているか(滑りにくい床面)
  • 温度計・湿度計が正しく機能しているか

 

サウナ安全対策チェックリスト

最後に、サウナを安全に楽しむためのチェックリストをまとめました。サウナに入る前にぜひご確認ください。

入浴前チェック

  • 体調は良好か(風邪、睡眠不足、疲労がないか)
  • 水分を十分に摂ったか(コップ1〜2杯)
  • 食後1〜2時間以上経過しているか
  • アルコールを摂取していないか
  • 持病がある場合、医師の許可を得ているか

入浴中チェック

  • 無理な長時間滞在をしていないか(初心者は5〜8分)
  • 体調の変化に注意を払っているか
  • 水風呂は段階的に入っているか
  • 休憩を適切に取っているか

入浴後チェック

  • 十分な水分・ミネラルを補給したか
  • しっかり休憩を取ったか(15〜30分)
  • めまいや体調不良がないか確認したか

 

まとめ

サウナは正しい知識と適切な対策があれば、安全に楽しむことができる素晴らしい文化です。この記事でご紹介した内容を参考に、無理のない範囲でサウナライフをお楽しみください。

「自分の体の声に耳を傾ける」ことが、サウナを安全に楽しむための最も大切なポイントです。

idetoxでは、安全性に配慮した自宅サウナ製品を取り揃えています。ご自宅で安心してサウナを楽しみたい方は、ぜひ一度ご覧ください。

 

サウナに関する安全情報は、今後も随時更新していく予定です。ご不明な点やご質問があれば、お気軽にお問い合わせください。

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サウナにハマり「サウナ・スパ 健康アドバイザー」や「サウナ・スパ プロフェッショナル」「サウナ・スパ 健康士」の資格を取得。 サウナの利用は週に1回程度のミドルユーザーです。主に記事の執筆を担当しています。

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