サウナは筋肉痛に効く?驚きの効果と最適な入り方
はじめに
「昨日の筋トレのせいで、今日は階段を降りるのも辛い...」
多くの方がこんな経験をしたことがあるのではないでしょうか。
若いときには運動の半日後くらいから痛みだしますが、歳を取ると翌日や翌々日、もしくはもっと遅れて痛みが襲ってくるとも言われています。
こんな筋肉痛の回復に効果的とされている1つがサウナです。
サウナは筋肉痛に有効なのか?
サウナは古くからある入浴法ですが、現代の科学的研究でもその有効性が裏付けられており、筋肉痛に対しても同様です。
結論から言うとサウナの筋肉痛に対する効果として、以下のことが分かっています。
- サウナは筋肉痛の一部に対して回復を促進する
- サウナは筋肉痛の痛みを予防する
私としては、サウナが筋肉痛の改善に役立つことは何となくイメージできました。ただ、サウナを利用することで、筋肉痛の発生を抑制する、予防の効果があることが示唆されている点は非常に驚きでした。
ここからは、これらの理由と効果的なサウナの入り方について、いくつかの研究をもとに解説していきます。
そもそも筋肉痛とは
そもそも筋肉痛とはなにか簡単におさらいしていきましょう。
筋肉痛は、普段使わない筋肉を使ったときや筋肉に強い負荷をかけたときに発生する痛みのことを指し、大きく「即時性筋肉痛」と「遅発性筋肉痛」の2種類に分かれます。それぞれの筋肉痛には以下のような特徴があります。
即時性筋肉痛
- 運動後すぐに痛みが始まり、数時間で治まる
- 乳酸などの代謝物質の蓄積による炎症などが原因
- 回復にはストレッチやアイシング(冷やすこと)が効果的
遅発性筋肉痛
- 運動の数日後に痛みがピークになり数日続く
- 筋繊維の損傷やそれにともなう炎症が原因
- 回復には軽い有酸素運動や温めることが効果的
サウナが有効なのは遅発性筋肉痛の回復
2つの筋肉痛の特徴から分かる通り、体を温めるサウナは遅発性筋肉痛の回復に有効とされています。
サウナによって体が温められると、血行が促進されますね。すると、酸素や栄養素が損傷した筋肉により速やかに供給されやすくなり、筋肉の修復速度が向上することが大きな理由とされています。また、疲労物質の排出もスムーズになることで、筋肉痛の軽減が期待できます。
実際にサウナの本場、フィンランドのユヴァスキュラ大学で行われた研究では以下のように述べられています。
サウナを利用したグループでは、(遅発性)筋肉痛の痛みが平均で 25% 低下した。<中略>筋肉の硬さも 約15% 減少し、筋肉の柔軟性が向上した。
さらに同じくユヴァスキュラ大学の別の研究では以下のように分析されています
サウナを利用したグループでは、筋肉痛のスコアが 32% 減少した。血中の乳酸濃度も 28% 低下し、乳酸除去の促進が見られた。これにより、筋肉の酸化ストレスが軽減し、筋肉の回復が加速されたことが示された。
また、タイで行われた研究では、小規模な調査ではありますが、以下のように述べられています。
運動後すぐにサウナに入ったグループは、筋肉痛の痛みが約30%軽減された。
3つの研究で、数値に小さな差がありますが、どれもサウナが筋肉痛を軽減する効果や回復が促進する効果については一致しています。
筋肉痛に効果的なサウナの入り方
では筋肉痛を軽減するために、どんなサウナの入りかをすればいいのでしょうか。
実は先程紹介した3つの研究では、サウナの入り方について共通しているポイントが3つあります。
- サウナ利用のタイミング
- サウナの種類
- 利用時間と温度
運動直後にサウナを利用する
いずれの研究でも共通していることは、運動後30分以内にサウナを利用している点です。
このタイミングで利用することで、筋肉の温度を維持し、血流を促進して、速やかに乳酸などの疲労物質を除去することができるのではないかと思われます。
遠赤外線サウナの利用
日本ではドライサウナやフィンランド式サウナが主流ですが、筋肉痛の軽減を目的にした研究では、いずれも遠赤外線サウナを利用しています。
遠赤外線サウナはその特性上、筋肉の奥深くまで直接熱を届けることができます。そのため、血流の促進や筋肉の修復がより効果的に行われると思われます。
もちろん、フィンランド式サウナのような高温サウナなどでも筋肉痛を軽減する効果はあると思います。しかし皮膚から筋肉へと順番に熱が伝わるため、筋肉の深部が温まるまでに時間がかかりやすいでしょう。そのため、これらのサウナは遠赤外線サウナに比べるとやや効果が劣るのではないかと予測されます。
適切な利用時間と温度
いずれの研究でも、50℃前後の遠赤外線サウナに15~20分の利用をしています。
これは一般的な遠赤外線サウナの入り方の目安と同じです。筋肉痛を軽減するために長い時間入りたいところですが、長時間利用すると脱水や低血圧等のリスクが上がってしまいます。そのため、適切な時間での利用が推奨されていると思われます。
もちろん運動の強度に応じて時間を微調整したほうがいいと思われます。例えば、アスリートのように負荷の高いトレーニングをしたあとであれば、20分間しっかりサウナに入り、健康の一貫として定期的な軽い運動をしているときには15分前後で抑えるといいでしょう。
まとめ
サウナは、筋肉痛の予防と回復の両面で大きな効果が期待できます。しかし、効果的な利用のためには、自分の体力や目的に合わせて適切な方法を選ぶことが重要です。
サウナに慣れていない場合は低温の短時間から始め、徐々に慣らして、時間を増やしていくことで、より高い効果を得ることができるでしょう。
もちろん、サウナはあくまで補助的な手段であるため、適切な運動、十分な休息、バランスの取れた食事といった基本的な要素と組み合わせることが、より効果的な回復とパフォーマンス向上につながると思います。
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