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【サウナは花粉症に効果がある?】いくつかの研究や入り方を解説

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【サウナは花粉症に効果がある?】いくつかの研究や入り方を解説

はじめに

寒い冬が落ち着いて、少し過ごしやすくなってきた頃、花粉症持ちの方にとっては1年で一番ツラい季節がやってきますね。

私もそうですが、くしゃみ、鼻水、鼻づまり、頭痛など日常生活に支障をきたすほどひどい花粉症の症状の人は多くいらっしゃると思います。

そんな花粉症に、サウナが効果的だと言われることがあります。

結論から言うと、現在までの研究でサウナが花粉症を治す効果は確認されていません。しかし、サウナに入ることで花粉症の症状を緩和する効果は期待ができそうです

今回は、サウナ入浴が花粉症に与える影響について、いくつかの研究結果を踏まえながら詳しく解説していきます。

 

花粉症とは

サウナの効果を解説する前に花粉症について整理しておきましょう。

厚生労働省によると、『花粉症はスギなどの花粉が抗原(アレルギーの原因物質)となって起こるアレルギー疾患の一種』とされています。

「アレルギー性鼻炎」と混同する方もいらっしゃいますが、正確にはたくさんの種類があるアレルギー性鼻炎の中の1種が花粉症なのです。

春先になるとスギやヒノキなどの花粉が多く飛散します。これに体が過剰に防衛反応をして、鼻水、鼻づまり、目のかゆみなどの症状が現れます。

環境省によると、日本では多くの人々が花粉症に悩まされており、その人数は年々増加傾向にあるようです。

 

花粉症と自律神経

次に花粉症と自律神経の関係です。

自律神経は、私たちの体の様々な機能を自動的に調節している神経系で、意識しなくても働いています。この自律神経には、「交感神経」と「副交感神経」の二つがあり、互いにバランスを取りながら体の状態を最適に保っています。

岡山大学病院薬剤部によると、アレルギー性鼻炎と自律神経について以下のように述べられています。

アレルギー性鼻炎の症状は副交感神経の働きが優位になると起こりやすい

つまり言い換えれば、自律神経のバランスが乱れると、花粉症の症状をより感じやすくなる可能性があるのです。

そのため、花粉症の症状を軽減するためには自律神経のバランスにも目を向ける必要があるかもしれません。

 

サウナは花粉症に効果があるのか?

それではここからサウナの効果についてです。

まず、学術雑誌などに掲載された、花粉症に対するサウナの効果についての研究を結論だけご紹介します。

 

花粉症の症状の改善

台湾の中原基督教大学での研究では次のように述べられています。

(アレルギー性鼻炎患者に)遠赤外線サウナに7日間毎日入ってもらうことで、<中略>目のかゆみ、鼻のかゆみ、鼻づまり、鼻漏、くしゃみの症状がすべて大幅に改善された。

この研究では遠赤外線サウナに入ることでアレルギー性鼻炎の症状の緩和が確認されており、同時に『明らかな副作用は確認されなかった』とも述べられています。

 

副交感神経系の活動を抑える

タイのコンケン大学での研究では、次のように述べられています。

(アレルギー性鼻炎患者に)週に3回のサウナを6週間行ってもらうと、<中略>免疫系を含む体の自律神経系 (ANS) に影響を与えることが示された。

この研究では、サウナに入ることでアレルギー反応を引き起こす自律神経(とくに副交感神経)の活性が落ち着き、またアレルギー性鼻炎の症状の改善が確認されています。

  

サウナ入浴が花粉症に効く2つの理由

サウナ入浴が花粉症に効果的である理由は、主に以下の3つが挙げられます。

鼻腔内の血行促進による症状緩和

サウナで体が温められることによって鼻腔内の粘膜も温められ、血行が促進されます。

血行が促進されることで、鼻詰まりや鼻水などの花粉症の症状が軽減される効果に期待ができます

  

ストレス軽減と自律神経のバランス調整

ストレスは、花粉症の症状を悪化させる要因の一つとされています。

ストレスは自律神経のバランスを崩したり、(慢性的な炎症状態を促進し、Th2細胞やIgE抗体の産生を増加させ、)花粉に対する過剰な免疫反応を引き起こすとされているからです。

実際にアメリカのミシシッピ大学の研究でも、ストレスが多いほど大きなアレルギー反応が出たことが報告されています。

 

定期的にサウナに入ることで、ストレスホルモンであるコルチゾールの分泌を抑制し、リラックス効果をもたらす効果が確認されています。

また、サウナや水風呂、外気浴を繰り返すことで自律神経を鍛え、バランスを整える効果に期待ができます。

これらの効果によってサウナは花粉症の症状を緩和したり、症状を感じにくくする可能性があります

  

花粉症対策のサウナの注意点

サウナ入浴は、花粉症の症状緩和に効果的な方法の1つとされていますが、いくつか注意点があります。

水分補給をこまめに行う

サウナに入ることによって大量の汗をかき、体の水分が失われますね。

花粉症のときにも、大量の鼻水によって体の水分が失われたり、薬を服用していると、口の乾燥を感じやすくなります。

そのため、花粉症の症状があるときにサウナを利用するときには、十分な水分補給を心掛けましょう

一般的には1回のサウナで300~500mlの水分補給が推奨されているため、花粉症のときには500ml以上の水分補給をすれば十分ではないかと思います。

 

温度や時間をしっかり管理する

体が温まりすぎると、アレルギー反応を引き起こすヒスタミンの分泌が促進されてしまい、花粉症の症状が悪化してしまう可能性もあります

花粉症のときにサウナに入る際は、短時間からはじめ、長く入りすぎないように注意しましょう。

 

鼻血に注意

ひどい花粉症の症状によって、鼻の粘膜が腫れて敏感になるときがあります。このときにサウナに入ると、粘膜の血管が拡張し、鼻血が出てしまうことがあります。(私も過去に1度だけ経験があります。。。)

特に公共のサウナ施設内に血が付いてしまうことは衛生上よくありません。

万が一鼻血が出てしまったら、すぐに退出して安静にし、サウナのベンチやタオルに血がついてしまったときは、施設のスタッフにすぐに報告するようにしましょう。

 

おすすめのサウナの種類

サウナの利用によって花粉症の症状を軽減する効果に期待ができますが、より高い効果を期待する場合には「湿度の高いサウナ」がおすすめです。

湿度の高いサウナの代表は「スチームサウナ」ですが、フィンランド式サウナや一部の遠赤外線サウナでも十分に効果が期待できるのではないかと考えられます。

逆に湿度の非常に低いドライサウナは、鼻詰まりの症状を軽減する効果が低かったり、乾燥によって鼻血のリスクを上げてしまうため、あまりおすすめはできないと思います。

  

まとめ

現在までの研究では、サウナに入ることで花粉症が治ることは確認されていません。

しかし、サウナに入ることで、花粉症のつらい鼻水や鼻詰まり、目のかゆみなどの諸症状を軽減する効果には期待ができそうです。

花粉症の症状を軽減したい場合、できるだけ湿度の高いサウナを利用し、無理のない範囲で行いましょう。

 

参考文献

サウナにハマり「サウナ・スパ 健康アドバイザー」や「サウナ・スパ プロフェッショナル」「サウナ・スパ 健康士」の資格を取得。 サウナの利用は週に1回程度のミドルユーザーです。主に記事の執筆を担当しています。

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