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【独自検証】サウナで起こる体の変化を計測してみた【心拍数・消費エネルギー・発汗量】

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【独自検証】サウナで起こる体の変化を計測してみた【心拍数・消費エネルギー・発汗量】 idetox オンラインショップ

はじめに

はじめに

サウナは睡眠の質を高めたり、自律神経のバランスを整えたり、また高血圧を予防するなどたくさんの健康効果がありますね。

その中には、ジムに通ったり自宅で筋トレをしている人にとって嬉しい「疲労回復」や「痩せ体質になる」など、フィットネスの観点からも効果が期待されています。

でも実際にサウナの中で体がどう変化しているのか気になる方も多いハズ。

そこで今回はいくつかのサウナに入って、「血圧」「心拍数」「体温」「体重」などを実際に計測し、消費エネルギーや運動強度について検証していきます。

※あくまで個人のデータですので参考程度にしてもらえればと思います。

 

結論

結論から書くと以下のようなことが分かりました。

  • 2回目以降のサウナは、1回目よりも時間を伸ばしたほうがよさそう
  • 10分間のサウナの運動強度(METs)は「卓球」程度
  • 健康寿命を伸ばすためにはサウナ以外の運動も必要
  • 水分補給は500mlを目安にしてよさそう
  • ミストサウナでも心拍数はかなり上がる

では詳しく見ていきましょう。

 

計測について

計測したのはいずれも夏のクソ熱さから少しだけ開放された9月上旬。だいたい最高気温が30℃前後の日でした。

測定は持ち込み制限などの都合上、心拍数以外が測れなかったものもあります。

また測定にはスマートウォッチやスマートリングを使用していますが、どれもサウナのような高温下での使用は非推奨とされています。

もしかすると温度が測定値にも悪い影響を与えて、正しい数値が測れていないかもしれません。今回測定したものが、なにかの研究で使われるような正確なデータではないことはご了承下さい。

同時にご自身で計測される際には自己責任でお願いします。

 

計測データ

ここから安静時のデータと、サウナの前後で計測したデータを載せています。

詳細のデータに興味のある方は以下をクリックしてください。

▼詳細(クリックで表示)

安静時の基礎データ

年齢:41

性別:男性

身長:176cm

体重:67kg

心拍数:77bpm

血圧:105/65mmHg

 

大型施設のサウナ

最初に少し大きなサウナ施設のサウナです。

サウナ温度は90℃でした

1回目

サウナ時間: 10分

心拍数変化: 83 → 124 → 82

体重変化: 67.6kg → 67.3kg

2回目

サウナ時間: 10分

心拍数変化: 93 → 108 → 84

体重変化: 67.6kg → 67.2kg

 

スポーツ施設のサウナ

次にジムに併設されているサウナです。

サウナ温度は90℃でした

1回目

サウナ時間: 6分

心拍数変化: 87 → 103 → 84

体重変化: 67.6kg → 67.3kg

体温変化: 36.2℃ → 38.3℃

2回目

サウナ時間: 10分

心拍数変化: 84 → 89 → 84

体重変化: 67.6kg → 67.2kg

体温変化: 36.1℃ → 38.2℃

 

温泉施設のサウナ

次に温泉施設の中に併設されているよくあるタイプのサウナです。

サウナ温度は1回目に見たときは82℃、2回目に見たときには90℃でした

1回目

サウナ時間: 5分

心拍数変化: 90 → 123 → 90

2回目

サウナ時間: 10分

心拍数変化: 76 → 90 → 76

 

温泉施設のミストサウナ

最後に温泉施設の中にあるミストサウナです。

サウナ温度は52℃でした

1回目

サウナ時間: 8分

心拍数変化: 78 → 109 → 76

2回目

サウナ時間: 10分

心拍数変化: 76 → 96 → 78

 

 

計測値を見た単純な感想

計測値を見た単純な感想

まずは計測データについて深掘りしていく前に、それぞれのデータを見た率直な感想が2つあります。

 

①:低温のサウナもしっかり心拍数が上昇していた

結果を見て最初に驚いたのは低温サウナであるミストサウナでも、心拍数が他のサウナとほぼ同程度まで上昇していたことです。

室内の温度は他のサウナが約90℃に対してミストサウナは52℃とかなり差があるにも関わらず、体は(少なくとも心臓は)同じように反応しているようですね。

 

ミストサウナは湿度がほぼ100%あり、酸素濃度が低くなっていますから、やや息苦しい環境ですよね。

だから少しでも酸素を取り込もうとして、温度による影響以上に心拍数が上がりやすくなっているのかもしれません。

 

②:2回目のサウナでは心拍数があまり上昇しなかった

どのサウナでも2回目のサウナではあまり心拍数が上昇しませんでした。

 

実際これを読んでいる方の中にも、サウナに複数回入るときに「2回目や3回目のほうが楽で長時間サウナを続けることができる」と感じたことがある人も多いのではないでしょうか。

 

これは単純に熱さに体が慣れたことが想像できます。

心拍数の上がり方が緩やかになっているのなら、もしかしたら「サウナの健康効果」を上げるためには、2回目以降のサウナは、1回目よりも長い時間にしなければいけないのかもしれないですね。

 

計測値を深掘りしていく

ここから計測したデータをもとに「運動強度」「消費エネルギー」「汗の量」を算出し、考えていきます。

※その手の専門家ではありませんので、考え方等に間違いがあったらご連絡いただけると幸いです。

 

心拍数からみる運動強度(%MHR・METs)と負荷度

まずは「サウナ=運動」と仮定して、上昇した心拍数からサウナの運動強度を考えてみましょう。

運動強度は「運動時の負荷の大きさを数値化したもの」で「きつさ」「しんどさ」を表すことができます。

 

%MHRの計算について

運動強度は単位によって計算方法が異なりますが、まずは最大心拍数に対する割合(%MHR)で考えてみます

心拍数の割合から運動強度を計算する方法は以下の通り

運動強度(%MHR)=運動時心拍数 / 最大心拍数

ここで最大心拍数はだいたい「207-(0.7×年齢)」で求められる(参考)とされています。(「220-年齢」も一般的です。)

年齢は41歳ですので、最大心拍数を「178」として計算していきます。

 

METsの計算について

日頃からトレーニングをしている方や知識がある方は「運動強度」よりも「METs(メッツ)」という言葉の方が馴染みがあるかもしれません。

METsも運動強度の単位の1つで「安静時を1として、その何倍のエネルギーを消費するか」を表すものです。

厚生労働省が発表している資料から一部抜粋すると以下のようなMETs値と運動例があります。

METs 運動の例
2.5 ヨガ、ビリヤード
3.0 ボウリング、バレーボール、ピラティス、太極拳
3.5 軽い筋力トレーニング(軽・中等度)、 体操(家で、軽・中等度)
4.0 卓球、パワーヨガ、ラジオ体操第1
4.5 テニス(ダブルス) 、水中歩行(中等度)、ラジオ体操第2
4.8 水泳(ゆっくりとした背泳)
5.0 かなり速歩(平地、速く=毎分107m)、野球、ソフトボール、
5.5 バドミントン
6.0 ゆっくりとしたジョギング、バスケットボール、水泳(のんびり泳ぐ)
6.5 山を登る(0~4.1kgの荷物を持って)
7.0 ジョギング、サッカー、スキー、スケート、ハンドボール
8.0 サイクリング(約毎時20km)
8.3 ランニング(毎分134m)、水泳(クロール、ふつうの速さ)、ラグビー
9.0 ランニング(毎分139m)
9.8 ランニング(毎分161m)
10.0 水泳(クロール、速い、毎分69m)

 

さまざまな計算方法がありますが、今回心拍数からMETsを計算するために、プール情報.comさんを参考に以下の式を使っていきます。

%HRR=(運動時心拍数-安静時心拍数) / (最大心拍数-安静時心拍数)

METs=%HRR×最大心拍数 / 安静時心拍数 × 4.37

 

自覚的運動強度(RPE)と自覚度について

RPEは運動の「しんどさ」を表す指標の1つです。

いくつか指標の種類がありますが、今回は一般的なBorgスケール(6-20)を使用していきます。

この指標の便利なところは「RPEの10倍」=「心拍数」となっているところです。

RPE 自覚度 心拍数
20 限界 200
19 非常にきつい 190
18 180
17 かなりきつい 170
16 160
15 きつい 150
14 140
13 ややきつい 130
12 120
11 110
10 100
9 かなり楽 90
8 80
7 非常に楽 70
6 60

 

 

この指標を用いて、サウナ時の「自覚度」を言葉で表していきます。

 

計算結果(1回目のサウナ)

大型施設サウナ スポーツ施設サウナ 温泉施設サウナ  ミストサウナ 平均
温度 90℃ 90℃ 82℃ 52℃
心拍数 124 103 123 109 115
運動強度(%MHR) 69% 57% 69% 61% 64%
METs 4.7 2.6 4.6 3.2 3.8
同程度の運動例 ゆっくり背泳ぎ 軽いヨガ 水中歩行 バレー 卓球
自覚的運動強度(RPE) 12 10 12 11 12
自覚度 ややきつい ややきつい ややきつい

 

平均のMETsは「3.8」と、全体的にしっかりした運動に近い数値になっていますね。

1回の時間は短いですが、定期的にサウナに入ることは適度な運動としての役割もあるのかもしれません。

 

計算結果(2回目のサウナ)

大型施設サウナ スポーツ施設サウナ 温泉施設サウナ ミストサウナ 平均
温度 90℃ 90℃ 82℃ 52℃
心拍数 108 89 90 96 96
運動強度(%MHR) 60% 50% 50% 54% 54%
METs 3.1 1.2 1.3 1.9 1.9
同程度METsの運動例 バレー - - ゆっくり歩く ゆっくり歩く
自覚的運動強度(RPE) 11 9 9 10 10
自覚度 かなり楽 かなり楽

 

2回目の方が1回目よりも心拍数が低くなっており、運動強度という点で見ても疲労感は小さくなっているのが分かります。

中にはMETsが1程度のものもあり、ほぼ何もしていない状態と同じになっていますね。

このことからも2回目やそれ以降のサウナについてはもっと時間を伸ばしたほうが良いのかもしれません。

2回目の理想のサウナ時間については後述します。

 

消費エネルギー 

次に消費されたエネルギー(消費カロリー)を考えていきます。

※かなり計算の過程をざっくりしていますので精度の低さについてはご了承ください。

運動強度から見る消費エネルギーの計算

すでに計算したMETsからエネルギー消費量を算出するために以下の式を使います。

エネルギー消費量(kcal)=1.2 × (METs-1) × 時間(h) × 体重(kg) 

ただここで1つの問題があります。

この計算はMETs値(心拍数など)が安定した状態(高止まりした状態)で運動を継続した場合に成り立ちます

今回の心拍数の計測はサウナ後に行ったものです。実際には心拍数はじわじわ上がっていきますよね。

ちなみにサウナ中の心拍数の推移について計測された研究論文はいくつかあり、実際には最初にグッと心拍数が上昇して、そのあと少しずつ上がっていくようです。(参考

ただ、ここでは分かりやすいように、下図のように心拍数が時間に対して直線的に上がっていったと仮定します。

運動強度から見る消費エネルギーの計算

時間に対して直線的に心拍数が上がっていったとすると、上記の式で計算されたエネルギー消費量を半分にすれば、ある程度辻褄が合うことになります。そのため計算は以下のようにします。

エネルギー消費量(kcal)=1.2 × (メッツ-1) × 時間(h) × 体重(kg)  / 2

  

計算結果(1回目のサウナ)

大型施設サウナ スポーツ施設サウナ 温泉施設サウナ  ミストサウナ 平均
温度 90℃ 90℃ 82℃ 52℃
心拍数 124 103 123 109 115
METs 4.7 2.6 4.6 3.2 3.8
時間(分) 10 6 5 8 7.3
消費エネルギー(kcal) 24 6 12 12 14

 

平均すると1回目のサウナで「14kcal」のエネルギー消費になりました。

一般的には1時間のサウナで150kcalが消費されるとされています。今回の平均時間は7.3分ですので、1時間あたりにすると115kcalになります。少し低いですね。

ただ、実際には心拍数はもっとスピーディーに上がりますし、サウナ中に体温が上がって基礎代謝量が増えたりもします。そのため実際の消費エネルギーは今回の計算値よりも高いと考えるのが妥当だと思います。

そう考えると1回目のサウナの消費エネルギーはほぼ平均的と言えそうですね。

 

計算結果(2回目のサウナ)

大型施設サウナ スポーツ施設サウナ 温泉施設サウナ  ミストサウナ 平均
温度 90℃ 90℃ 82℃ 52℃
心拍数 108 89 90 96 96
METs 3.1 1.2 1.3 1.9 1.9
時間(分) 10 10 10 10 10
消費エネルギー(kcal) 14 1 2 6 6

 

平均すると2回目のサウナで「6kcal」のエネルギー消費になりました。

平均のサウナ時間は10分ですので、1時間あたりにすると36kcalになります。

だいぶ少ないですね。

 

では次に1回目と同程度まで近づけるために2回目のサウナに必要な時間を考えてみましょう。

 

2回目以降のサウナ時間を考える

2回目以降のサウナの時間を考える基準とするのは「心拍数」です。

2回目のサウナでは心拍数が96になるまで10分かかりました。

これを1回目の平均である115程度まで上昇するためには何分サウナに入れば良いのでしょうか。

 

単純に時間に対して直線的に心拍数が上昇したと仮定すると、2回目は1分間で心拍数が1.9上昇しています(安静時心拍数77)。つまり以下の計算で求められます

2回目のサウナ時間(m) = (1回目の平均心拍数(115)  -  安静時心拍数(77) )  /  心拍数の上昇率(1.9/m)

すると2回目の理想のサウナ時間は「20分」になりました。

 

少し長過ぎるような気もするので検証が必要そうですが、少なくとも1回目(7.3分)の2倍程度の時間にしたほうがよさそうですね。

 

身体活動基準

少し話は変わって、厚生労働省が生活習慣病発症のリスク低減のために必要な活動量を定めた「健康づくりのための身体活動基準 2013」というものがあります。

これによれば、18~64歳までは3METs以上の身体活動が、1週間合計で「METs×運動時間(h)=23以上」になるのが望ましいとのことです。

 

もし上記までの計算が正しいと仮定すると1回目のサウナの平均METsは3.8になります。

そして、もしサウナのみでこの身体活動を満たすとすると、「1週間で約6時間」サウナに入っている必要がありそうです。

不可能な数字ではないですが、サウナだけでこの基準を満たすのは現実的ではなさそうです。

健康的な体を維持するためには、サウナ以外の運動も必要ということですね。

 

汗の量と水分補給の量

最後に、発汗量を考えてみましょう。

汗の量の測り方はシンプルで、サウナ前後の体重差で考えます。

厳密には体に付着した水分や汚れによっても体重は変わりますが、 ここではサウナで減った重さはすべて汗だと仮定します。

結果的に減った体重の平均値は0.3kgでした。

 

大塚製薬さんのHPでは「飲む量は、かいた汗の量を目安に...」とあります。

そのため今回の場合、サウナのために必要な水分補給の量は約300mlということになりますね。

 

当サイトを含め、一般的にはサウナの前には500mlの水分補給を推奨していることが多いです。

今回の計測では少し足りませんでしたが、やはり基本的にはこの500mlを目安にしてよさそうですね。

 

もちろん体から汗で排出されるのは水だけでなく、ナトリウムなどの電解質も含まれています。

サウナ中の脱水症を予防するためにも、スポーツドリンクなどでしっかり事前に水分補給しておく必要がありそうです。

 

まとめ

まとめ

  • ミストサウナでも心拍数はかなり上がる
  • 2回目以降のサウナは、1回目よりも時間を結構伸ばしたほうがよさそう
  • 10分間のサウナの運動強度(METs)は「卓球」程度
  • 健康寿命を伸ばすためにはサウナ以外の運動も必要
  • 水分補給は500mlを目安にしてよさそう

 

idetox管理人

自称!?日本初のサウナコンシェルジュとして活動。 初心者の方でも、安心・安全に楽しんでいただくために、サウナにまつわる疑問やお悩み解決を日々発信中。 サウナの入り方やマナーまでご不明な点などございましたら、お気軽にご相談ください。

https://idetox.jp/

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