妊娠中や妊活中のサウナ利用：リスクと効果、そして安全な選択

はじめに

妊娠中の方や妊活中の方は、「サウナに入っても大丈夫か？」と心配になることがあるでしょう。

サウナはストレスを和らげたり、腰痛を軽減したりと、妊娠中の不調を解消する効果が期待できますが、一方でネット上には賛否両論の意見が存在します。

結論から言うと、このサイトでは「妊娠中はサウナの利用を控えるべき」と考えています。以下、その理由について詳しく解説します。

妊娠中のサウナ利用に伴うリスク

妊娠中のサウナ利用について否定的な意見がある理由は、主に次の2点です。

体温が上がりすぎる

妊娠中、体の中心温度が39℃以上になると、流産や先天性欠損症のリスクが上昇するといくつかの研究で報告されています。

高温のサウナに長時間入ると、体温が39℃を超える可能性があり、これがリスクの原因です。特に妊娠初期には、このリスクが高まりますので、妊娠が確定していない妊活中や妊娠初期には特に注意が必要です。

脱水・めまいによるリスク

サウナでは脱水症状やめまいが起こることがありますが、妊娠中はこれらの症状がさらに発生しやすくなると言われています。

特にめまいによる転倒などは、二次的な被害を引き起こす可能性があり、また、妊娠中はホルモンバランスの変動や血液量の増加により失神のリスクも高まります。サウナ内での失神は非常に危険です。

妊娠中でもサウナを勧める意見も

一方で、妊娠中でもサウナが問題ないとする意見もあります。以下はその主な理由です。

妊娠中に嬉しい効果

サウナには、ストレスを解消し「うつ」の症状を軽減する効果があります。妊娠中はホルモンバランスの変動でストレスが溜まりやすく、マタニティブルーズと呼ばれる精神的不調を引き起こしやすくなります。

サウナは、β-エンドルフィンの放出を促し、妊娠中のストレスを解消する効果が期待できます。また、サウナによって妊娠中の腰痛や肩こりを和らげたり、筋肉疲労の回復を早めたり、血糖値を下げたりする効果も報告されています。

体温はそこまで上がらないとする研究結果も

39℃以上になると流産などのリスクが高まる可能性があることを、先述しましたが、オーストラリアのシドニー大学などでの研究では、

妊娠中にサウナを利用しても、最高体温は37.7℃で39℃以下だった

と報告されています。

また、多くの人がサウナに入るフィンランドでは、2016年時点での流産率は8.3％と、世界的に見ても低い水準となっています。

これらのデータから、妊娠中のサウナ利用は必ずしも危険とは言えないとする意見もあります。

結論：妊娠中のサウナ利用は慎重に

妊娠中のサウナ利用については自己責任ですが、ここまでの意見をまとめると、リスクを考慮するとサウナは控えるべきという結論に至ります。

脱水やめまい、失神のリスクは依然として残る

妊娠中のサウナ利用による脱水症状やめまい、失神のリスクに対する反論は見当たりません。このリスクが解消されない限り、サウナを妊娠中の方に勧めるのは難しいでしょう。

体温の上昇リスクは完全には否定できない

オーストラリアでの研究では、サウナ利用で体温が39℃以上にはならないと示していますが、これは70℃のサウナを利用した人を対象にしており、日本の高温サウナ（80℃～100℃）とは条件が異なるため、単純に比較できません。

また、人種や体型、サウナへの慣れなど、細かな違いが考慮されていないため、体温の面で安全とは言い切れません。

まだまだ研究不足

妊娠中のサウナの効果や影響については世界各地で研究されていますが、それぞれサウナの条件や人種などの違いまで加味された研究はほとんどありません。

サウナが妊娠中に入っていいかどうかは「根拠が不足していて、良いとも悪いとも言い切れない」が正しいと思います。

妊娠中のほとんどの方は1%でもリスクを高めたくないと思いますので、安全性を考えれば「控えたほうが良い」と個人的に思います。

妊娠初期にサウナに入ってしまったら？

もしかしたら「妊活中や妊娠初期にサウナに入ってしまった」という方もいらっしゃるかもしれません。ただ、ほとんどの場合、問題になることは少ないでしょう。あくまでも入らないよりもリスク上がる可能性があるとされているだけで、科学的な根拠は不足しています。

もし心配であれば、かかりつけの産婦人科医に相談することをお勧めします。

中途半端に入るくらいなら控えるべき

「妊活中や妊娠中は低温サウナに短時間だけ入るといい」という意見もありますが、そのような入り方ではサウナの良い効果も十分に得られません。

妊娠中や妊活中には、中途半端にサウナに入るようであればサウナの利用を控えることをお勧めします。