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サウナは喘息の症状を緩和する?効果やリスクについて解説

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サウナは喘息の症状を緩和する?効果やリスクについて解説

はじめに

空気の通り道が狭くなり、息苦しさや胸の詰まりを感じたり咳が出たりする喘息(ぜんそく)。

子供の頃に発症することが多いのですが、大人になっても30%の人は症状が続くとされています。

そんな喘息の症状を和らげるかもしれないとされているのがサウナです。

この記事ではサウナ利用でなぜ喘息の症状が緩和されるのか、いくつかの研究を元に解説していきます。

 

※この記事は喘息患者にサウナを推奨するものではなく、情報提供を目的としています。喘息がある方は、サウナを利用する前に必ず医師に相談しましょう。

 

喘息について

まずは喘息についてその特徴を簡単におさらいしていきましょう。

Medical Noteによると、喘息は、気管支(気道)が慢性的に炎症を起こし、呼吸時にヒューヒュー、ゼーゼーといった音(喘鳴)や呼吸困難が生じる病気です。

発症は幼児期に多いですが40~60歳代にもピークがあります。つまり20代で何もなくても40代で急に喘息の症状が現れることがあるのです。

その原因は遺伝的要素、アレルギー反応、気道の刺激、特定の薬など、様々なものがあるとされています。

症状には咳や息苦しさがあり、重症化すると呼吸困難になったりチアノーゼ(青みがかった紫色の皮膚)が現れ意識障害が起きることもあるとされています。

 

サウナについて

次にサウナについて簡単におさらいです。

サウナは、フィンランドが発祥とされる入浴法の1つで、古来より汚れを落としたり、リラックスすることを目的に利用されてきました。近年その効果が再注目されており、睡眠の質の向上や心臓病予防、免疫系の機能向上など多くの健康効果が見つけられています

一方で、脱水症やヒートショックが起こる可能性があったり、心臓や血圧などに持病がある人にとっては危険が伴ったりと、サウナの入り方やタイミングを間違えればリスクもあります

 

 

喘息に対するサウナの効果とその理由

では、そんなサウナが喘息にどのように影響するのでしょうか。

結論から言うとサウナには、喘息の症状を緩和し、喘息の症状が起きる頻度を減らし、発症したときの重症度を軽減する可能性があります

これについて喘息に対するサウナの効果についての研究などをまとめて、解説していきます。

 

気道に潤いを与えて喘息の症状の軽減

実際、医学雑誌『The American Journal of Medicine』に掲載されたフランク・A・グレコ氏らの研究では、

(フィンランド式)サウナは乾燥した環境にあるものの、高い水分圧のおかげで気道の粘液に潤いを与えることができ、気管支喘息の症状が軽減される可能性がある

と報告されています。

 

水分不足で粘膜が乾燥すると、かゆみや炎症を引き起こしやすく、喘息発作を引き起こす可能性があることが知られていますし、喉の乾燥で喘息発作を起こした経験がある人も多いのではないでしょうか

サウナでは粘膜に潤いを与えることで、これらを防ぐことができるのです。

  

息切れや胸の圧迫感を軽減

V V Zinchuk医師らの研究では

サウナ利用は血液中の酸素分圧 (pO2) を増加させ、ヘモグロビンの酸素結合能力を低下させる

ことが証明されています。

これはつまり、サウナを利用することで筋肉に利用できる酸素が増え、喘息時の息切れや胸の圧迫感を和らげる可能性があるのです。

 

心臓機能を強化し発作が起こりにくい体に

チェンジ喘息!』によると、

運動で発作がおこる運動誘発性喘息の方は~適度な運動は発作の予防となります。適度な運動により、心肺機能が高まり、基礎体力がアップして、発作がおこりにくい体になります。

とされています。

東フィンランド大学のラウッカネン氏らの研究では。サウナを利用することで、血圧を安定化させたり動脈の硬さを軽減したりと心血管機能を安定化させることが報告されています。

そのため、定期的にサウナに入ることで運動誘発性喘息を発症しにくい体作りに役立つ可能性があります

 

ストレスを減らして喘息のリスクを軽減

アリナミン製薬によると、疲れやストレスが溜まると、それが引き金となって喘息を起こすことがあるとされています。

サウナを利用すると、血行を促進したり、「β-エンドルフィン」「オキシトシン」「セロトニン」などのホルモンを脳内に分泌して、ストレスを軽減する効果があります。

そのため、定期的にサウナを利用することでストレスを減らし、結果的に喘息の発症リスクを軽減することにつながる可能性があります

 

喘息患者のサウナ利用のリスクと注意点

サウナには喘息に対して多くのメリットがある一方で、リスクもあります。

喘息持ちの人は、サウナの高温が呼吸困難を引き起こしたり、サウナ後の急激な温度変化、特に水風呂が、気道を刺激して喘息発作を引き起こす可能性があります。また、個人差もあるため喘息に対する良い効果がサウナで十分に得られるとは限りません。

そのため、喘息持ちの人がサウナを利用する際には、事前に医師に相談したり、短時間で利用したり温度差の少ないサウナ利用を行うなど、慎重な入り方が求められるでしょう。

 

  • 医師の相談: サウナの利用前に、専門医と相談しましょう
  • 個人差: 効果や影響は個人差があります。自己判断せず、医師の指示に従いましょう
  • 環境の管理: サウナの温度や利用時間は慎重に管理しましょう
  • 急激な温度変化の回避: サウナの後の水風呂や冷たいシャワーは避けたほうがいいかもしれません

 

まとめ

サウナには喘息の症状を軽減したり、発症を減らす効果に期待ができるとされています。

しかし喘息持ちの人がサウナを利用する場合、サウナによって逆に喘息の症状が起きてしまうというリスクもしっかり理解しておくことが重要です。

サウナを利用する前に医師と相談し、個々の健康状態に合った適切な判断をしてもらいましょう。

サウナにハマり「サウナ・スパ 健康アドバイザー」や「サウナ・スパ プロフェッショナル」「サウナ・スパ 健康士」の資格を取得。 サウナの利用は週に1回程度のミドルユーザーです。主に記事の執筆を担当しています。

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