リウマチにサウナは効果がある?いくつかの研究をもとに解説します
はじめに
日本では約83万人が悩んでいると言われる関節リウマチ。関節を動かしているときはもちろん、何も動かなくても痛みが強く、食欲不振や倦怠感なども伴うつらい病気です。
近年の研究では、そんな関節炎を伴うリウマチの症状を緩和する方法の1つとして『サウナ』が注目されています。
ここではいくつかの研究論文を参考にしながら、サウナがリウマチに与える効果やおすすめのサウナの種類について詳しく解説していきます。
※この記事はリウマチ患者にサウナを勧めているわけではなく、知識の提供を目的としています。リウマチ持ちの方がサウナを利用する際には事前に医師の診断を受けるようにしてください。
関節リウマチとは
まずは関節リウマチについて知っておきましょう。
関節リウマチは、自己免疫疾患の一つで、関節に慢性的な炎症を引き起こす病気です。これは身体の免疫システムが、間違って体の健康(正常)な組織を攻撃してしまい、関節の腫れや痛み、機能障害を招くものです。
関節リウマチの症状
あゆみ製薬によると関節リウマチの症状は
関節だけでなく、全身にさまざまな症状がみられます
とされています。
主な症状としては以下のものが挙げられています。
- 関節炎
- (特に朝の)身体のこわばり
- 関節に水がたまる
- 関節にしこりができる
- 微熱
- 貧血
- 倦怠感
- 疲れ
この他にも数多くの症状が報告されており、重症化すると関節が変形したり骨が破壊されたりしてしまうようです。
関節リウマチの原因
市立御前崎総合病院によると関節リウマチの原因については
原因は、いまだ不明
とされています。関節リウマチと同じ「自己免疫疾患」には多発性筋炎や多発性血管炎などがありますが、いずれも原因が特定されていません。
ただし関節リウマチは、30~50代に発症しやすく、特に女性に多いことが知られています。
リウマチに対するサウナの効果
フィンランドで行われたTuro Nurmikko氏らの研究によると、サウナは血液循環を改善し、炎症を軽減し、痛みを軽減することが示されています。
その結果、関節リウマチの症状を緩和するための薬物を使用しない手段としてサウナを利用する選択肢が注目されているのです。
サウナの具体的な効果や理由は主に以下の2つです。
血行促進で、こわばり・炎症・疲労感の軽減
サウナや水風呂に入ることで血行が促進されますね。血行が良くなると、血液の流れが改善され、酸素や栄養素が効率よく運ばれたり、体内の老廃物の排出を助けることにもつながります。
これにより、リウマチによる炎症の痛みや腫れが和らぐ可能性があります。
また同じメカニズムで、筋肉や関節のこわばり軽減したり、全身の疲労感を軽減することにつながっていると考えられています。
ストレス軽減で症状悪化を抑える
サウナを利用することで、リラックス効果が得られ、ストレスが軽減されます。これは血行促進や脳内に「β-エンドルフィン」「オキシトシン」「セロトニン」の3つの物質が分泌することが理由です。
ストレスは関節炎やリウマチの症状を悪化させる要因の一つと考えられているため、サウナでストレスを軽減することは、結果的にリウマチの症状の悪化を防ぐことにつながる可能性があります。
リウマチに効果的なサウナの種類とその理由
サウナにはフィンランド式サウナ、ドライサウナ、スチームサウナ、遠赤外線サウナなど、様々なタイプが存在しますね。
これらの中でも、関節リウマチに効果的とされているのは遠赤外線サウナです。
赤外線は体の組織に直接熱を加えていきます。それによって体内でATPと呼ばれる物質の生成を促進することが、いくつかの研究で分かっています。そしてこのATPは、体内の炎症と戦う白血球の生成を促進します。
また遠赤外線サウナは、その熱エネルギーが体に吸収されやすいため、血行促進という面でも効果的とされています。
実際にオランダのトゥウェンテ大学のFredrikus G J Oosterveld氏らの研究では、
リウマチ患者に遠赤外線サウナを4週間で8回入ってもらうと、(中略)副作用はなく(中略)患者は痛み、こわばり、疲労感の改善が示された
と述べられています。
他にも同氏の研究では、リウマチ患者に30分間の遠赤外線サウナをしてもらうと
参加者の大多数は治療中および治療後に快適さを感じ、セッションの 30 分後には健康状態が改善された
と報告しています。
サウナ利用の注意点
リウマチ持ちの方がサウナを利用する際は、以下の点に注意することを推奨します。
- 医師と相談の上、サウナ利用が適切かどうかを確認しましょう
- 事前に水分補給を十分に行い、脱水症状に注意しましょう
- サウナ前は重い食事を避けましょう
- 初めての方は、短時間から始めて様子を見ましょう
まとめ
関節リウマチは、痛みやこわばりなどの辛い症状を伴う自己免疫疾患です。サウナの利用は血行を促進し、リウマチの炎症や痛みを軽減することがいくつかの研究によって示されています。
特に、遠赤外線サウナは体の深部まで温め、血行促進や炎症の軽減に有効です。このため、関節リウマチにおいては、遠赤外線サウナが特に推奨されるサウナの種類と言えるでしょう。
サウナは関節リウマチの症状緩和に効果的な手段の一つですが、個々の健康状態やリウマチの症状によっては適さない場合もあります。そのため、サウナを利用する前には、専門の医師と十分に相談するようにしておきましょう。
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