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【認知症はサウナで予防できるかも】いくつかの研究や注意点を解説

【認知症はサウナで予防できるかも】いくつかの研究や注意点を解説

はじめに

近年、高齢化社会が進む中で、認知症は多くの人にとって関心のある病気となっています。

認知症は、記憶力や判断力などの脳の機能が低下する疾患の総称で、その人数は今後も増加していくと予想されています。

そんな中、近年注目を集めているのが、サウナです。近年のいくつかの研究で、サウナが認知症予防に効果がある可能性が示唆されているのです。

ここではサウナの認知症への効果についていくつかの研究を元に解説していきます。

 

認知症とは

認知症は、脳の損傷などにより記憶力、思考力、判断力などの認知機能が低下する病気の総称です。

「アルツハイマー病」のほか「脳血管性認知症」、「レビー小体型認知症」などが認知症の1つとされています。

脳内のアミロイドβタンパク質の蓄積や、脳血管障害などによって認知機能に影響を及ぼすことで認知症が起こるとされていますが、その原因は完全には解明されていません

 

認知症に対するサウナの効果

ではまず、学術雑誌などに掲載された、認知症とサウナに対する2つの研究を結論だけご紹介します。どちらもサウナの本場、フィンランドでの研究です。

 

東フィンランド大学の研究

まず、東フィンランド大学のラウッカネン氏らの研究では、2,315人の男性を約20年間にわたって追跡調査し、サウナの有無と認知症の発症率の関係を調べています。

この研究では以下のような結果が出されています。

サウナを週に1回利用する人に比べて、週に2~3回利用する人の認知症リスクは21%低く、4~7回利用する人は認知症リスクが66%低かった。特にアルツハイマー病の場合、リスクはそれぞれ 20% と 65% 低下した。

つまりこの研究では、サウナが認知症予防に寄与する可能性を示されています。またサウナの頻度が高いほど認知症のリスクが減ることが示されています

 

 

フィンランド福祉研究所の研究

同じくフィンランドの福祉研究所に所属するポール・ネクト氏らの研究では、先程よりも大規模に13,994人の男女を対象とし、最長39年間追跡調査が行われました。

この研究では以下のような結果が出されています。

サウナを月に0~4回利用する人に比べて、月に9~12回サウナを利用する人は、<中略>認知症のリスクが21%低かった。しかし、月に13~30回利用する人の認知症リスクはさらに低下するわけではなかった。

この研究でも、先程の東フィンランド大学の研究同様に、サウナが認知症予防に寄与する可能性を示されています。

ただし、この研究では、「頻度が多ければ多いほどよい」という先ほどの研究の結果が否定されています

同時に、認知症予防には週に2,3回が最適なサウナの頻度である可能性が高そうですね。

 

考えられている効果の理由

さて、2つの研究をご紹介しましたが、いずれもコホート分析と呼ばれる統計的な研究であり、そのメカニズムを調べたものではありません。

認知症の原因自体がまだ完全に解明されていないため、なぜサウナが認知症予防に効果がありそうなのかという理由も、同じく完全には分かっていないのです。

ただし、サウナが認知症のリスクを減らす要因について、次のような仮説が立てられています。

  • 血流の改善
  • ストレスの軽減
  • 抗酸化作用
  • 炎症の抑制

それぞれ少し詳しく解説してきます。

 

血流の改善

サウナに入ることで体温が上がり、血管が拡張して血流が促進されます。

これにより、脳への酸素や栄養をスムーズに供給できるようになるため、認知機能の維持に寄与する可能性が考えられています

 

ストレスの軽減

ストレスは認知症の要因の1つと考えられています。多くの研究で、長期間の高いストレスが認知機能への悪影響を与える可能性があることが示されているからです。

サウナはリラクゼーション効果があり、ストレスホルモンの分泌を抑えたり、快楽物質であるβエンドルフィンなどの分泌を促進することが知られています。

つまり、サウナに入ることでストレスを軽減し、それが結果的に認知症の予防につながっていると考えられています。

 

抗酸化作用

私たちの体は、普段から「活性酸素」というものを作り出しています。活性酸素は、通常は体を守るためにも役立つのですが、量が多すぎると悪い影響を及ぼします。ときに、多すぎる活性酸素が脳の細胞を傷つけることがあり、それが「認知症」につながることがあるとされています

サウナに入ることで抗酸化物質というものが生成されるため、活性酸素の悪影響を軽減する効果に期待ができるとされています。

これにより、サウナは活性酸素によって脳の細胞が傷つくことを軽減し、認知症の発症リスクを低減する可能性があると考えられています。

 

炎症の抑制

慢性的な炎症は認知症に影響を与える可能性があります。慢性的な炎症は神経細胞の損傷や死を引き起こし、これが認知機能の低下や認知症のリスクの増加につながると考えられているからです。

サウナは炎症を抑制する効果があるとする研究結果がいくつかあります。サウナを利用することで体温が上昇し、それによって血流が改善されるとともに、炎症反応を調節する一部の物質のレベルが変化する可能性があるからです。

これによりサウナに入ることで慢性的な炎症を抑制して、認知症の発症リスクを低減する可能性があると考えられています。

 

サウナ利用時の注意点

サウナは認知症をはじめとして、多くの健康効果に期待ができる一方、体への負荷が大きいためリスクもあります

特に高齢者の方がサウナを利用する場合、次の点に特に注意して利用しましょう。

  • 事前の体調確認:体調が優れない場合はサウナを控える
  • 短時間の利用:過度な熱さや長時間の滞在は避ける
  • ゆっくりとした入退室:温度差によるめまいや転倒を防ぐため、入退室はゆっくりと
  • 充分な水分補給:サウナ前後の水分補給は特に重要
  • 定期的な検診:高血圧や心臓病など、サウナを避けるべき疾患を定期的に検査しましょう

これらの注意点を守ることで、高齢者の方でもサウナを安全に楽しむことができます。健康維持の一環として、適切にサウナを利用しましょう。

 

サウナを避けるべき疾患

いくら認知症予防とはいえ、サウナは体への負荷が大きいため、一部の病気を患っているときには、利用を控えるべきです。

高齢者に多い疾患の中で、サウナを避けるべき疾患は以下のようなものがあります。

  • 心臓疾患
  • 高血圧
  • 呼吸器疾患
  • 重度の糖尿病
  • 腎臓疾患
  • 深刻な皮膚疾患

以下に簡単に解説していきますが、少しでも心当たりのある方はサウナの利用前に医師の診察を受けるようにしておきましょう。

心臓疾患

冠動脈疾患、心不全、不整脈などの心臓疾患を持つ方は、不整脈を引き起こすリスクが高まるなどの理由により、一般的にサウナ利用は避けるべきとされています。

 

高血圧

高血圧の方は、サウナによる急激な血圧の変動が脳卒中や心臓発作のリスクを高める可能性があるため、サウナ利用を控えるべきとされています。

 

呼吸器疾患

慢性閉塞性肺疾患(COPD)やぜんそくなどの呼吸器疾患がある方は、サウナの高温が呼吸を困難にする可能性があります。特に気道が敏感になっている人は注意が必要です。

 

重度の糖尿病

重度の糖尿病をお持ちの方は、サウナが神経障害や血流障害を悪化させるリスクがあります。血糖コントロールが不安定な方はサウナを控えるべきでしょう。

 

腎臓疾患

慢性腎臓病や透析治療を受けている方は、サウナによる脱水(汗をかくことで体の水分が減ること)が腎臓に大きな負担をかけるため、サウナを避けるべきとされています。

 

深刻な皮膚疾患

重度の皮膚疾患や感染をお持ちの方は、サウナの高温が症状を悪化させる可能性があります。皮膚が正常に機能していない場合、サウナを避けるべきでしょう。

 

まとめ

認知症は、世界中で問題となっている大きな健康問題です。

サウナに入ることで認知症を予防したり予防に役立つ可能性は、いくつかの研究によって示唆されています。

しかし、サウナは体への負荷が大きいため、誰もが利用できるわけではありません。

体調や疾患を確認し、健康維持の一環として、適切にサウナを利用しましょう。

サウナにハマり「サウナ・スパ 健康アドバイザー」や「サウナ・スパ プロフェッショナル」「サウナ・スパ 健康士」の資格を取得。 サウナの利用は週に1回程度のミドルユーザーです。主に記事の執筆を担当しています。

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