サウナで息苦しいのはなぜ?呼吸が楽になる5つの即効対策とNGな入り方
はじめに

睡眠の質向上やストレス解消など、多くの健康効果が期待できるサウナ。しかし「暑すぎて息ができない」「ムワッとした空気が辛い」と感じて、すぐに退室してしまう方も多いのではないでしょうか。
私自身も初めてサウナに入ったときは、まるで灼熱の壁が喉に突き刺さるようで、息を吸うたびに気道が焼けるような感覚に襲われました。パニックになりかけ、わずか3分ほどで逃げ出すように退室した苦い経験があります。
そこで今回は、サウナで息苦しさを感じる原因と、その対策となる5つの呼吸法を詳しく解説します。正しい対策を知れば、サウナをより快適に楽しめるようになりますよ。
サウナで息苦しい理由とは?2つの原因を解説
サウナで息苦しさを感じる原因は、主に以下の2つに分けられます。
- 高温の空気が鼻や喉の粘膜を刺激する
- サウナ室内の酸素濃度が相対的に低下する
これらの原因を正しく理解することで、適切な対策を選ぶことができます。
原因1:熱い空気が鼻や喉の粘膜にダメージを与える
日本で一般的なドライサウナは、室温が80〜100度前後に設定されています。この高温の空気を吸い込むと、デリケートな鼻腔や喉の粘膜に熱ダメージが加わり、痛みや不快感を引き起こします。
体はこの痛みを本能的に避けようとして、無意識に呼吸を浅くしてしまいます。これが「息苦しい」と感じる大きな原因の一つです。
高温環境下での呼吸は、気道粘膜に熱ストレスを与え、防御反応として呼吸パターンの変化を引き起こすことが知られています。参考:日本サウナ・スパ協会「サウナの正しい入り方」
原因2:サウナ内の酸素濃度が低下している
高温環境では空気が膨張するため、同じ体積あたりの酸素分子の数が減少します。さらにロウリュ(サウナストーンに水をかける行為)で湿度が上がると、水蒸気が空気中の酸素を置き換える形で、相対的な酸素濃度がさらに低下します。
その結果、普段通りの呼吸では十分な酸素を取り込みにくくなり、息苦しさを感じてしまうのです。
気温が上昇すると空気の密度が低下し、同じ体積の空気に含まれる酸素量は減少します。100℃のサウナ室内では、20℃の外気と比較して空気密度が約20%低下するとされています。参考:物理学における理想気体の法則
サウナの息苦しさを改善する5つの呼吸法と対策

ここからは、サウナでの息苦しさを軽減するための具体的な方法を5つご紹介します。これらの方法を実践していくと、徐々にサウナの環境に体が慣れていきます。無理のない範囲で試してみてください。
対策1:濡れタオルやマスクで口元を覆って呼吸する
熱い空気による粘膜へのダメージが原因の場合、この方法が非常に効果的です。
濡れたタオルやマスクに含まれる水分が気化する際、周囲の熱を奪います(気化熱)。そのため、口元を通過する空気の温度が大幅に下がり、呼吸のしやすさが劇的に改善されます。
注意!
濡れタオルで口を覆うと、一度の呼吸で使う体力が増えたり、取り込む酸素量が減少したりすることがあります。次に紹介する姿勢の改善や鼻呼吸と組み合わせて実践しましょう。
対策2:正しい姿勢で座り呼吸を深くする
酸素が不足しがちなサウナ内では、呼吸効率を最大化することが重要です。
首が伸びすぎていたり、猫背になっていたり、肩が前に出ている姿勢では、肺が十分に広がらず呼吸が浅くなってしまいます。すると限られた酸素をさらに取り込みにくくなり、息苦しさが増してしまうのです。
サウナ内では背筋をまっすぐ伸ばし、あごを軽く引いて正面を向いて座ることを意識しましょう。これだけで肺に入る空気の量が増え、息苦しさが軽減されます。
POINT
サウナ×ヨガの組み合わせもおすすめです。ヨガの呼吸法や姿勢のポイントを取り入れることで、より効果的にリラックスできます。
対策3:鼻呼吸を意識して酸素を効率よく取り込む
息苦しいときは、つい楽に感じる口呼吸に頼りがちです。しかし口呼吸は浅い呼吸になりやすく、結果的に酸素を体の隅々まで届けにくい呼吸法です。また口呼吸は姿勢の悪化にもつながります。
鼻から息を吸うことで、以下のメリットがあります。
- 鼻腔で空気が適度に加湿・温度調節される
- 横隔膜を使った深い呼吸がしやすくなる
- 体内への酸素供給効率が向上する
サウナ内では意識的に鼻から息を吸い、口からゆっくり吐くことを心がけてみてください。
対策4:ヴィム・ホフ呼吸法で滞在時間を延ばす
ここからは、サウナにより長く滞在したい方向けのテクニックです。息苦しさそのものを改善するというより、呼吸回数を減らすことで快適に過ごすための方法となります。
ヴィム・ホフ呼吸法は、オランダ人の「アイスマン」ことヴィム・ホフ氏が開発した呼吸法です。
ヴィム・ホフ呼吸法に関する研究では、この呼吸法が自律神経系や免疫応答に影響を与える可能性が示されています。2014年に発表された研究では、訓練を受けた被験者がエンドトキシン投与後の免疫反応を意識的にコントロールできたことが報告されました。参考:Kox et al. (2014) "Voluntary activation of the sympathetic nervous system and attenuation of the innate immune response in humans" PNAS
- サウナの中で30回ほど深呼吸をします(無理のない範囲で)
- 最後の呼吸で息を完全に吐ききります
- 息を吐いた状態で、できるだけ長く息を止めます
- 大きく1回深呼吸をして、体が落ち着くまで通常の呼吸に戻します
重要な注意事項
ヴィム・ホフ呼吸法は意図的に過呼吸状態を作り出すため、高温のサウナ内で行うとめまい、立ちくらみ、最悪の場合は失神のリスクがあります。必ず最初は低温のサウナや自宅で練習し、サウナ内では控えめに実践してください。体調に異変を感じたらすぐに中止し、退室してください。
対策5:ボックス呼吸法(スクエア呼吸)でリラックス
「スクエア呼吸」とも呼ばれるこの方法は、ストレス軽減やパフォーマンス向上のために広く活用されている呼吸法です。
ボックス呼吸法は、米軍やアスリートの間でストレス管理技術として採用されており、副交感神経を活性化させてリラックス状態を促すことが研究で示されています。参考:Harvard Health Publishing "Relaxation techniques: Breath control helps quell errant stress response"
- 鼻から4秒かけてゆっくり息を吸います
- 4秒間息を止めます
- 4秒かけて息を吐き出します
- 4秒間息を止めます
このサイクルを繰り返すことで、少ない呼吸回数でも息苦しさを感じにくくなります。
| 呼吸法 | 特徴 | 難易度 | おすすめの人 |
|---|---|---|---|
| ヴィム・ホフ呼吸法 | 免疫向上・ストレス軽減効果も期待できるが、リスクもある | 上級 | サウナ上級者・十分な練習を積んだ方 |
| ボックス呼吸法 | シンプルで覚えやすく、どこでも実践可能 | 初級 | サウナ初心者・手軽に試したい方 |
それでもサウナで息苦しいときの対処法
上記の方法を試しても改善しない場合は、利用しているサウナの種類が体質に合っていない可能性があります。
そんなときは思い切ってサウナの種類を変えてみることをおすすめします。
サウナにはドライサウナだけでなく、スチームサウナ、ミストサウナ、フィンランド式サウナ、遠赤外線サウナなど多くの種類があります。
呼吸がしやすいサウナは「遠赤外線サウナ」
数あるサウナの中でも、息苦しさが苦手な方に特におすすめなのが「遠赤外線サウナ」です。
- 室温が50〜60度程度と低め
- ロウリュがないため湿度が低い
- 遠赤外線が体を直接温めるため、空気を熱くする必要がない
遠赤外線サウナは日本ではまだ施設数が少ないですが、アメリカではジムや家庭用として広く普及しています。お近くに遠赤外線サウナがあれば、ぜひ一度試してみてください。
POINT
idetoxでは、息苦しさが苦手な方でも快適に楽しめる遠赤外線サウナを取り揃えています。施設に通わなくても、自宅で自分のペースでサウナを楽しむことができます。
喘息など呼吸器疾患がある方は注意が必要
喘息などの呼吸器疾患をお持ちの方は、サウナの利用に際して特別な配慮が必要です。
サウナの温熱効果が気道の血流を改善し、一部の呼吸器症状を緩和する可能性がある一方で、高温・乾燥した空気が気道を刺激し、発作を誘発するリスクもあります。必ず主治医に相談してからご利用ください。参考:日本呼吸器学会
サウナは無理せずリラックスを楽しむ場所

サウナは本来、苦しさを我慢して耐えるものではありません。心身をリラックスさせ、日々の疲れを癒すための場所です。
息苦しさを感じながら限界まで我慢することは、サウナ本来の目的から外れています。自分の体調や体質に合った方法で、快適にサウナを楽しむことが大切です。
今回ご紹介した5つの対策をぜひ試してみて、自分に合った方法を見つけてくださいね。
アンケート
最後までご覧いただきありがとうございます。 より良い自宅サウナを提供するために、アンケートにご協力よろしくお願いします!質問は3つです。
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